スティーヴン・スピルバーグ監督の『シンドラーのリスト』で描かれたオスカー・シンドラーのように、ナチスの手からいくつもの命を救った人物が英国にもいた。彼の名はニコラス・ウィントン、結果的に6000の命に繋がった活動と子供たちとの50年後の再開を、『英国王のスピーチ』のプロデューサーが映画化。
ニコラスに扮するのは、『羊たちの沈黙』と『ファーザー』でアカデミー賞を受賞した映画界の至宝アンソニー・ホプキンス。さらに実際に助けられたかつての子供たちや、その親族が世界中から撮影に参加。数多のキャリアを誇るホプキンスも「心を大きく揺さぶられた」と打ち明けている。共演には、『ブルックリンの恋人たち』のジョニー・フリン、オスカーノミネート俳優のヘレナ・ボナム＝カーター、「ザ・クラウン」シリーズのジョナサン・プライス。
監督はポン・ジュノ監督と共に「スノーピアサー」の製作総指揮を務めたジェームズ・ホーズ。脚本は『リリーのすべて』のルシンダ・コクソン、音楽は『西部戦線異状なし』でアカデミー賞を受賞したフォルカー・バーテルマン。
あってはならない戦争が再び始まり、現在も続いている今この時代だからこそ贈る、人間の温かな心と無償の愛が生み出した未来を描く希望の物語。
時は1938年、第2次世界大戦直前。ナチスから逃れてきた大勢のユダヤ人難民が、プラハで住居も十分な食料もない悲惨な生活を送っているのを見たニコラス・ウィントンは、子供たちをイギリスに避難させようと、同志たちと里親探しと資金集めに奔走する。ナチスの侵攻が迫るなか、ニコラスたちは次々と子供たちを列車に乗せる。だが、遂に開戦の日が訪れた。それから50年、ニコラスは救出できなかった子供たちのことが忘れられず、自分を責め続けていた。そんな彼にBBCからTV番組「ザッツ・ライフ！」の収録に参加してほしいと連絡が入る。そこでニコラスを待っていたのは、胸を締め付ける再会と、思いもよらない未来だった。
│ニコラス・ウィントン│
1937年、イギリス、ウェールズ生まれ。英国で最も尊敬され、多くの映画・舞台に出演している名優の一人。『羊たちの沈黙』(91)のハンニバル・レクター役で世界を震撼させ初めてアカデミー賞®を受賞し、その後も『日の名残り』(93)、『ニクソン』(95)、『アミスタッド』(97)、『2人のローマ教皇』(19)で同賞にノミネートされ、『ファーザー』(20)で2度目のオスカーに輝く。マーベルの大ヒットシリーズ『マイティ・ソー』(11)、『マイティ・ソー／ダーク・ワールド』(13)、『マイティ・ソー バトルロイヤル』(17)では主人公の父親役を演じ、広い層に知られる。近年の主な出演作は、『ヒッチコック』(12)、『ノア 約束の舟』(14)、『トランスフォーマー／最後の騎士王』(17)、『The Son／息子』(22)、『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』(22)、『REBEL MOON ─パート1：炎の子』(23)など。1993年にナイトの称号を授与される。
│青年時代のニコラス│
1983年、南アフリカ、ヨハネスブルグ生まれの英国人。ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルの「ジーニアス：世紀の天才アインシュタイン」(17)で青年期のアルベルト・アインシュタインを演じ、クリティクス・チョイス・アワード助演男優賞にノミネートされる。さらに、『スターダスト』(20)で伝説のミュージシャン、デヴィッド・ボウイの若き日を演じる。続いて、ジョン・マッデン監督の『オペレーション・ミンスミート ─ナチを欺いた死体─』(21)でコリン・ファースらと共演し評価される。その他の出演作は、『ブルックリンの恋人たち』(14)、『アクトレス ～女たちの舞台～』(14)、TVシリーズ「恋愛後遺症」(14～18)、『EMMA エマ』(20)、『時の面影』(21)など。また、ジョニー・フリン & ザ・サセックス・ウィットというバンドを組み、アルバムをリリースし、世界ツアーも行っている。
│グレーテ・ウィントン／ニコラスの妻│
1955年、スウェーデン、ストックホルム生まれ。ストックホルムのナショナル・ステージで上演された、イングマール・ベルイマン演出の「リア王」などに出演してキャリアをスタートさせる。ベルイマン監督の『鏡の中の女』(76)、『ファニーとアレクサンデル』(82)、『リハーサルの後で』(84)で注目される。その後、『存在の耐えられない軽さ』(88)で絶賛され、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされる。さらに、『敵、ある愛の物語』(89)でアカデミー賞®に、ラッセ・ハルストレム監督の『ショコラ』(00)で英国アカデミー賞にノミネートされる。その他の出演作は、『蜘蛛女』(93)、TVシリーズ「エイリアス」(02～06)、『愛を読むひと』(08)、『カサノバ』(05)、『リスボンに誘われて』(13)など。
│ドリーン・ワリナー／イギリス難民委員会児童課の仲間│
1982年、イギリス、ロンドン生まれ。フランソワ・オゾン監督の『エンジェル』(07)で主演を務め注目される。ジョー・ライト監督の『つぐない』(07)のブライオニー役で評価され、イヴニング・スタンダード英国映画賞最優秀女優賞にノミネートされる。さらに、TVシリーズ「エマ ～恋するキューピッド～」(11)と「THE HOUR 裏切りのニュース」(12)でゴールデン・グローブ賞にノミネートされる。その他の出演作は、『ダンシング・ハバナ』(04)、「ダンシング・インサイド／明日を生きる」(05)、『アメイジング・グレイス』(06)、『ワン・デイ 23年のラブストーリー』(11)、『未来を花束にして』(15)、『ミス・マルクス』(20)など。『悪魔がみている』(20)では、監督と脚本を手掛ける。
│トレヴァー・チャドウィック／イギリス難民委員会児童課の仲間│
1989年、イギリス、ロンドン生まれ。2014年にジュリアードを卒業した直後に、ブロードウェイ劇の主役に抜擢され、最年少でトニー賞の主演男優賞、ドラマデスク賞、アウタークリティックス・サークル賞に輝くなど、その才能を絶賛されている。主な出演作は、リリー・コリンズ、キアヌ・リーヴスと共演したマーティ・ノクソン監督の『心のカルテ』(17)、ニコール・キッドマン、エル・ファニングと共演したジョン・キャメロン・ミッチェル監督の『パーティで女の子に話しかけるには』(17)、『UFO －オヘアの未確認飛行物体－』(18)、『ザ・ハッスル』(19)、『シカゴ７裁判』(20)、『生きる LIVING』(22)など。
│ベティ・マクスウェル／メディア王の妻│
1945年、スイス、バーゼル生まれ。ジョン・シュレシンジャー監督の『マラソン マン』(76)でゴールデン・グローブ賞にノミネートされる。その他の出演作は、クロード・ルルーシュ監督の『マイ・ラブ』(74)、シドニー・ポラック監督の『ボビー・デアフィールド』(77)、ニキータ・ミハルコフ監督の『黒い瞳』(87)、『狼とアーロン少年』(02)、『インストーラー』(07)、『キューブ・ホスピタル』(08)、クリント・イーストウッド監督の『ヒア アフター』(10)、『ミケランジェロの暗号』(10)、『クリムゾン・プロジェクト』(13)、『パリへの逃避行』(17)、「ロマノフ家の末裔 ～それぞれの人生～」(18)など。
│マーティン・ブレイク／ニッキーの友人、難民支援仲間│
1947年、イギリス、ウェールズ生まれ。テリー・ギリアム監督作品で知られ、『未来世紀ブラジル』(85)、『バロン』(88)、『ブラザーズ・グリム』(05) 、『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』(18)に出演する。『キャリントン』(95)でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞し、『2人のローマ教皇』(19)で高く評価され、アカデミー賞®とゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞にノミネートされる。その他の出演作は、『エビータ』(96)、『007／トゥモロー・ネバー・ダイ』(97)、スワン総督に扮した『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの3作品(03,06,07)、悪役ザルタンとアメリカ合衆国大統領の2役を演じた『G.I.ジョー』シリーズ(09,13)など。舞台でも活躍し、トニー賞とオリヴィエ賞を受賞している。
│バベット・ウィントン／ニコラスの母│
1966年、イギリス、ロンドン生まれ。『鳩の翼』(97)でアカデミー賞®、ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞にノミネートされる。その後も、『英国王のスピーチ』(10)で同賞にノミネートされ、英国を代表する俳優となる。ティム・バートン監督とのタッグで知られ、『PLANET OF THE APES 猿の惑星』(01)、『ビッグ・フィッシュ』(03)、『チャーリーとチョコレート工場』(05)、『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(07)、『アリス・イン・ワンダーランド』(10)、『ダーク・シャドウ』(12)、『アリス・イン・ワンダーランド／時間の旅』(16)に出演する。世界的大ヒット作『ハリー・ポッター』シリーズのべラトリックス・レストレンジ役でも広く知られる。その他の出演作は、『眺めのいい部屋』(86)、『ハワーズ・エンド』(92)、『ファイト・クラブ』(99)、『 オーシャンズ8』(18)など。
Apple TVのヒット作「窓際のスパイ」のオープニングシーズン(22)の監督を務める。また、エミー賞と英国アカデミー賞を受賞しているシリーズ作品「ブラック・ミラー」では複数エピソードを監督したのはわずか3人だが、ホーズはそのうちの一人として長編エピソード“Hated in the Nation”(16)と”Smithereens“(19)を手掛ける。2010年、ヘレナ・ボナム＝カーターが主演したTV映画「Enid（原題）」で英国アカデミー賞に初めてノミネートされ、2015年には ウィリアム・ハート主演の「チャレンジャー号 73秒の真実」でザ・ロイヤル・テレビジョン・ソサエティの最優秀TV映画賞を獲得する。2019年には、Netflixで世界的ヒット作となったTNTの「スノーピアサー」で製作総指揮と監督を務める。本作が、長編映画初監督作となる。新作は、ラミ・マレック、レイチェル・ブロズナハン、ローレンス・フィッシュバーン出演の『Amateur』(24)。
1962年生まれ。ポール・ベタニー、ヘレナ・ボナム＝カーター主演の『The Heart of Me（原題）』(02)、『ラフマニノフ ある愛の調べ』(07)、エミリー・ブラント主演の『ターゲット』(10)、エディ・レッドメイン、アリシア・ヴィキャンデル主演、トム・フーパー監督の『リリーのすべて』(15)、ドーナル・グリーソン主演、レニー・アブラハムソン監督の『ザ・リトル・ストレンジャー』(18)などを手掛ける。ミッシェル・フェイバーの小説を脚色した全4話の「The Crimson Petal and the White」(11)はBBC2で放映され、高い評価を得る。
戯曲家、詩人、脚本家、そして劇場の文芸顧問として活躍している。リチャード・ロクスバーグが監督し、エリック・バナとフランカ・ポテンテが主演し、オーストラリア映画協会賞作品賞を始め数多くの賞に輝いた、レイモンド・ガイタの回顧録の映画化『ディア マイファーザー』(07)の脚色を手掛ける。
ピアニスト、作曲家、実験音楽家として世界中で高い評価を得ている。『西部戦線異状なし』(22)でアカデミ
ー賞🄬、英国アカデミー賞に輝く。ダスティン・オハロランと共に作曲した『LION／ライオン ～25 年目のただ
いま』(16)では、アカデミー賞🄬、ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞にノミネートされる。その他の作
品は、『ホテル・ムンバイ』(18)、『アドリフト 41 日間の漂流』(18)、『ヒトラーに盗られたうさぎ』(19)、『オ
ールド・ガード』(20)、『アンモナイトの目覚め』(20)、『密航者』(21)、『DIVE／ダイブ 海底28 メートルの
絶望』(23)など。
2023年／イギリス／原題：ONE LIFE／英語／カラー／ビスタ／109 分／G
提供：木下グループ／配給：キノフィルムズ
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