キノフィルムズ

公開終了
2016年9月10日(土)公開

だれかの木琴

心の隙間に入ってきた美容師への、抑えきれない執着——
愛と呼ぶにはあまりに危険で切ない、男と女のサスペンス

イントロダクション

観る者が心の奥底に抱える孤独を解き放つ、
魂の美しき共鳴の物語
平凡に生きてきた主婦が、ふとした心の隙間に入って来た美容師の男に、どうしようもなく心を囚われていく。あなたなら、この〈名前のない想い〉を何と呼ぶ?好奇心…衝動…執着…恋…それとも欲望? エスカレートしていく彼女の言動に息をのみながら、私たちはふと気づくだろう。SNSでフォローしている特別な相手に対してやっている自分の行為と似ていることに。休日に誰とどこへ出かけたのか、今どこで何を食べているのか、見たい、知りたい──。
閉塞した現代社会で孤独を癒すためにSNSに逃げ込む私たちと、癒す術を持たず美容師の男にのめりこむ主婦、そんな女の飢餓感を見つめる男の〈想い〉が重なり合っていく。愛と呼ぶにはあまりにも危険で切ない、求め合いねじれゆく男と女をスリリングかつエレガントに描く、大人のためのサスペンスが誕生した。

名匠・東陽一監督のもと
常盤貴子×池松壮亮が豪華初競演!
小夜子を演じるのは、映画・TV・舞台と幅広く活躍し、今や日本のエンタテインメント界のトップに立つ常盤貴子。少しずつ道を踏み外していく狂気はリアルに、膨らんでいく妄想は匂い立つようなエロスで演じ、新たな代表作をここに打ち立てた。 海斗には、2014年の映画賞を総なめにし、2016年には本作以外にも7本の話題作が公開され、間違いなく日本映画界の未来を牽引する池松壮亮。自分につきまとう主婦に戸惑いながらも、彼女に何が起きているかを見極めようと正面から対峙する大人の男に挑む。
その他、小夜子の夫に勝村政信、海斗の恋人に佐津川愛美が扮している。
監督・脚本は、『絵の中のぼくの村』で、ベルリン国際映画祭銀熊賞を始め40以上の栄誉ある賞に輝いた名匠、東陽一。かつて『もう頬づえはつかない』や『四季・奈津子』など女優演出で高く評価された監督が、久しぶりに女性のミステリアスな本性を描き、常盤を新境地に導いた。原作は直木賞作家の井上荒野。
どこにでもいる主婦の小夜子に、本当は何があったのか──最後にそれを理解した時、観る者の心の奥底に眠る孤独感と疎外感が解き放たれていく、稀有なる魂の共鳴の物語が完成した。

ストーリー

心の隙間に入ってきた美容師に、
どうしようもなく心が囚われていく──
求めあい、ねじれゆく男と女のサスペンス
親海小夜子(常盤貴子)は、警備機器会社勤務の優しい夫の光太郎(勝村政信)と、可愛い中学生の娘かんな(木村美言)と3人暮らし。念願の一軒家に引っ越した小夜子は、近くで見つけた美容院で山田海斗(池松壮亮)と名乗る若い美容師に髪を切ってもらう。
「本日はご来店、ありがとうございました。」
その日のうちに海斗からのお礼のメールが届き、小夜子は「今後ともよろしくお願いします」となにげなく返信するが、なにかが小夜子の中でざわめいたのだった。その返信にさらに返信を重ね、レスが途絶えると再び店を訪れて海斗を指名する小夜子。
ある日、店での会話をヒントに、海斗のアパートまで探し当てた小夜子は、ドアノブに「買いすぎたのでどうぞ」というメモとともに苺のパックを吊るして帰る。新しいお得意様に対する拭いがたいもやもやを感じていた海斗は、はっきりと小夜子の執着を危険なものとして感じ取る。次の休みの日、またしても小夜子は海斗の家にやってきて、今度は家の呼び鈴を押した。近くまで来たという小夜子に海斗は「汚いとこですけど、どうぞ」と招き入れる。「そんなつもりじゃ」と慌てる小夜子だったが、部屋に吸い込まれるように入ってしまうのだった……。
やがて家族や周囲を巻き込み、2人の関係がたどり着いた思わぬ結末とは──?

常盤貴子

1972年生まれ。91年女優デビュー以降、テレビドラマ、映画と数多く活躍。映画『赤い月』(03)では、第28回日本アカデミー賞「優秀主演女優賞」を受賞。主な出演作品に、『20世紀少年 全3部作』(08-09)、『アフタースクール』(07)、『引き出しの中のラブレター』(09)、『CUT』(11)、『野のなななのか』(14)など。テレビドラマでは「愛していると言ってくれ」(95/TBS)、「Beautiful Life~ふたりでいた日々~」(00/TBS)、大河ドラマ「天地人」(09/NHK)、連続テレビ小説「まれ」(15/NHK)などがある。2016年は5~6月に舞台「8月の家族たち August:Osage County」(ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出)に出演。

池松壮亮

1990年生まれ。『ラスト サムライ』(03)で映画初出演。以降も、『半分の月がのぼる空』(09)、『愛の渦』(13)、『大人ドロップ』(14)、『ぼくたちの家族』(14)、『海を感じる時』(14)、『紙の月』(14)、『バンクーバーの朝日』(14)、『劇場版MOZU』(15)など出演が続く。14年公開の出演作に対し、第38回日本アカデミー賞新人俳優賞を始め、数々の賞を獲得した。2016年は5月までに『シェル・コレクター』(坪田義史監督)、『無伴奏』(矢崎仁司監督)、『ディストラクション・ベイビーズ』(真利子哲也監督)、『海よりもまだ深く』(是枝裕和監督)が公開となり、待機作として『セトウツミ』(大森立嗣監督)、『永い言い訳』(西川美和監督)、『デスノート Light up the NEW world』(佐藤信介監督)がある。

佐津川愛美

1988年生まれ。『蝉しぐれ』(05)でヒロインの少女時代を演じ、スクリーンデビュー。同作でブルーリボン賞助演女優賞ノミネート。『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(07)でブルーリボン賞助演女優賞及び新人賞にWノミネート。近年の映画出演に『横道世之介』(12)、『ガキ☆ロック』(14)、『グラスホッパー』(15)、『ヒメアノ~ル』(?田恵輔監督)、『貞子vs伽椰子』(白石晃士監督)など。7/2より『片想いスパイラル』(原桂之介監督)が公開。テレビドラマ『朝が来る』(CX)にレギュラー出演中のほか、舞台『THE BAMBI SHOW~1st STAGE~』、『娼年』、『夜にて』が控える。

勝村政信

1963年生まれ。蜷川カンパニー出身。劇団第三舞台に入団、退団まで主要メンバーとして活躍。「天才たけしの元気が出るテレビ」で人気を集めるなど、TV、舞台、映画など幅広く活躍する。主な映画出演作に『ソナチネ』(93)、『HERO』(07)、『禅 ZEN』(08)、『君に届け』(10)、『極道めし』(11)、『クロユリ団地』(13) など。2011年よりテレビ東京「FOOT×BRAIN」のレギュラーMCを務めるほか「いきつけ」(BSフジ)に出演中。2016年10月より『ドクターX』第4シリーズ(テレビ朝日)がスタート、公開待機作に映画『U-31』(谷健二監督)がある。

スタッフ

  • 監督・脚本・編集:東 陽一

    1934年生まれ。長篇第1作は『沖縄列島』(69)。つづく『やさしいにっぽん人』(71)で日本映画監督協会新人賞、『サード』(78)で芸術選奨文部大臣新人賞、キネマ旬報監督賞、ブルーリボン賞などを受賞し、不動の地位を確立する。その後、桃井かおり主演『もう頬づえはつかない』(79)、烏丸せつこ主演『四季・奈津子』(80)、黒木瞳主演『化身』(86)など“女性映画”の旗手として数多くの作品を生み出す。『橋のない川』(92)は毎日映画コンクール監督賞、報知映画監督賞、日刊スポーツ映画大賞監督賞を受賞。『絵の中のぼくの村』(96)ではベルリン国際映画祭銀熊賞、芸術選奨文部大臣賞ほか国内外を問わず数多くの賞を受賞。近年の作品に『ボクの、おじさん』(00)、『わたしのグランパ』(03)、『風音』(04)、『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』(10)などがある。

  • 原作:井上荒野

    1961年生まれ。89年「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞を受賞しデビュー。2004年「潤一」で第11回島清恋愛文学賞、08年「切羽へ」で第139回直木賞受賞、11年「そこへ行くな」で中央公論文芸賞受賞。主な著書は「結婚」「それを愛とまちがえるから」「夜をぶっとばせ」「悪い恋人」「リストランテアモーレ」「ママがやった」など多数。最新作は単行本「赤へ」。作品が映画化されるのは、「帰れない猫」(『愛してる、愛してない(“Come Rain, Come Shine”)』(11))、「つやのよる」(『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』(13))に続き3作目となる。

  • 企画・製作・プロデューサー:山上徹二郎

    1954年生まれ。1986年に映画の製作・配給会社シグロを設立。1992年に東陽一監督の『橋のない川』の製作を手掛け、毎日映画コンクール他数多くの賞を受賞。その後、東監督の全作品を製作、『絵の中のぼくの村』(96)でベルリン国際映画祭・銀熊賞など多数の映画賞受賞。またプロデューサーとして藤本賞特別賞を受賞。『わたしのグランパ』(03)はモントリオール世界映画祭で最優秀アジア映画賞、『風音』(04)も同映画祭でイノベーション賞を受賞する。『松ヶ根乱射事件』(06/山下敦弘監督)、『ぐるりのこと。』(08/橋口亮輔監督)などの劇映画のほか、ドキュメンタリー映画を含め70作品以上を企画・製作している。2015年度日本映画ペンクラブ賞を受賞。

  • 撮影:辻 智彦

    1970年生まれ。『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(07/若松孝二監督)で三浦賞、毎日映画コンクール撮影賞受賞。主な作品に『キャタピラー』(10)、『海燕ホテル・ブルー』(11) 、『千年の愉楽』(12)(すべて若松孝二監督)。ほか『9.11‐8.15日本心中』(05/大浦信行監督)、『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(09/白石和彌監督)など。

  • 録音:小川 武

    1963年生まれ。『恋人たち』(15/橋口亮輔監督)で毎日映画コンクール録音賞を受賞。主な作品に『松ヶ根乱射事件』(06/山下敦弘監督)、『CUT』(11/アミール・ナデリ監督)、『銀の匙 Silver Spoon』(14/?田恵輔監督)、『ロマンス』(15/タナダユキ監督)など。

  • 照明:大久保礼司

    1977年生まれ。主な作品に『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(07)、『キャタピラー』(10)、『海燕ホテル・ブルー』(11)、『千年の愉楽』(12)(すべて若松孝二監督)、『超能力研究部の3人』(14/山下敦弘監督)、『つむぐもの』(16/犬童一利監督)など。

  • 助監督:藤江儀全

    1964年生まれ。長編監督作品として『ジーナ・K』(05)がある。助監督として2016年は『蜜のあわれ』(石井岳龍監督)、『アイアムアヒーロー』(佐藤信介監督)、『世界から猫が消えたなら』(永井聡監督)などが公開されている。

だれかの木琴

2016年/日本¥/112分/ヴィスタ/5.1ch/G
製作:『だれかの木琴』製作委員会(シグロ・木下グループ・東映ビデオ・ホリプロ・ポニーキャニオン・イースマイル・レボリューション)
制作プロダクション:シグロ、ホリプロ  
配給:キノフィルムズ
助成:(ロゴ)文化庁文化芸術振興費補助金 
シグロ30周年記念作品
©2016年『だれかの木琴』製作委員会