キノフィルムズ

公開終了
2020年6月5日(金)公開

ルース・エドガー

誰からも愛され、称賛される少年は何者なのか。
完璧な優等生か、それとも恐ろしい怪物なのか?
注目の次世代スター×実力派キャストが“真実”をめぐって衝突する圧巻のアンサンブル

イントロダクション

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アフリカ系移民の高校生ルースはオバマの再来と呼ばれる文武両道の優等生だが、ある日教師のウィルソンが彼のロッカーから違法な火薬を発見したことをきっかけに、たちまち疑惑の人物に。家族の中でも、様々な疑念や軋轢が生じ始める。本当にルースに非があるのか?それともウィルソンが彼に偏見を持っているだけなのか?両親にも教師にも自分を信じてもらえずに苦しむルース。果たして、真実を語っているのはいったい誰なのか?
人間の謎めいた本質、アメリカの理想と現実をえぐり全米で絶賛されたサスペンスフルなヒューマン・ドラマ

ストーリー

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バージニア州アーリントンの高校に通うアフリカ系アメリカ人のルース・エドガー(ケルヴィン・ハリソン・Jr.)は、文武両道の模範的な優等生だ。陸上部で活躍し、討論部の代表として全米大会に出場したこともあるルースは、さまざまなルーツの生徒が通う学校で誰からも慕われている。戦火の国エリトリアで生まれ、7歳の時にアメリカへ渡ってきた彼は、養父母となったエイミー(ナオミ・ワッツ)、ピーター(ティム・ロス)のエドガー夫妻から現在の名前を授かり、幼少期に戦場へ駆り出された悲惨なトラウマを克服した。今や若きバラク・オバマを彷彿とさせる聡明な若者に成長し、将来を嘱望されるルースは、人種のるつぼであるコミュニティの希望の星となっていた。
そんなある日、エイミーはベテランの歴史教師ハリエット・ウィルソン(オクタヴィア・スペンサー)から学校へ呼び出される。息子のルースが歴史上の人物をテーマにした課題のレポートで、アルジェリア独立運動の革命家フランツ・ファノンを取り上げ、彼の過激な思想について記したというのだ。そして、その内容を問題視したウィルソンはルースのロッカーを捜索し、危険な違法の花火を発見したという。息子のプライバシーを無視して調査を行ったウィルソンに反発するエイミーだったが、不安に駆られて夫のピーターに相談することに。「たかが花火だ。心配するな。息子がテロリストだとでも?」と事もなげに答えるピーター。
帰宅したルースと夕食を囲んでその話題を向けると、ルースもウィルソンへの微妙なわだかまりを抱いていることが判明する。ウィルソンは教育熱心な反面、生徒たちにレッテルを貼る傾向があり、彼らを従わせて自分の政治的な主張に利用しているというのだ。「僕に与えられた役は“悲劇を乗り越えた黒人”で“アメリカの良心の象徴”なんだ。責任を感じて重荷だよ」。
その後もルースとウィルソンの緊張関係はじわじわと高まっていった。エイミーは愛する息子を信じ、彼を守り抜きたいと思っているが、嫌な胸のざわめきを抑えられない。「なぜ違法の花火をロッカーに?」とルースを問い詰め、彼が以前交際していた同級生ステファニー(アンドレア・バング)から事情を聞き出そうと試みる。それでもルースへの疑念を払拭できないエイミーは、息子が自分のまったく知らない別の顔を隠し持っているのではないかと苦悩を深めていく。ピーターもまた「ルースに深い愛情を感じている」と前置きしながらも、エイミーに彼を引き取ったことの“代償”を認めるべきだと複雑な思いを打ち明ける。
その頃、ウィルソンの周辺ではトラブルが続発していた。心を病んで療養施設に入所している妹ローズマリー(マーシャ・ステファニー・ブレイク)が、学校に突然押しかけてきて大暴れし、駆けつけた警官に取り押さえられる騒ぎが発生。その様子をルースが無言でじっと見つめていた。その夜、自宅で真っ赤なスプレーによる差別的な落書きを目の当たりにしたウィルソンは、それがルースの仕業だと確信する。
翌日、ウィルソンは落書きの件を校長に相談するが、ずば抜けて優秀なルースを信頼しきっている校長には彼女の主張が理解できない。するとウィルソンは、かつてステファニーが同級生とのパーティーで性的暴行を受けた疑惑を持ち出し、ルースがその犯人だと告発した。一方、精神的な混乱が頂点に達したエイミーは、自宅で「何を隠してるの? 本当のことを言いなさい!」と言葉を荒げてルースに詰め寄る。ルースは迷いをさらけ出した母親に、「本当は皆、心から僕のことを信じていないんだ……皆にとって、僕は聖人でなければ怪物だ。息ができない。窒息しそうだ」とつらい心情を吐露するのだった。
そして校長の呼びかけで、エドガー家の親子3人とウィルソンの面談が学校の一室で行われることになった。まったく言い分が噛み合わず、完全に対立した両者は激しく互いを責め立て合う。はたしてルースは評判通りの“完璧な優等生”なのか、それともウィルソンが主張する“過激な危険分子”なのか。面談終了後、学校でさらなる大事件が勃発するなか、ルースへの愛と疑惑の狭間で胸を引き裂かれるエイミーがたどり着いた真実とは……。

ナオミ・ワッツ

|エイミー・エドガー|
1968年、イギリス・ケント州ショアハム生まれ。14歳の時にオーストラリアのシドニーに移り住み、演劇学校に通い始める。オーストラリアのTVシリーズで女優の仕事をスタートさせ、『タンク・ガール』(95)、『ラスト・ウェディング』(96)などで注目を集めた。キャリアのターニングポイントになったのは、デヴィッド・リンチ監督によって主演に抜擢された『マルホランド・ドライブ』(01)。この幻惑的なミステリー映画での演技が絶賛され、『ザ・リング』(02)、『キング・コング』(05)、『イースタン・プロミス』(07)などの話題作に相次いで出演するようになった。ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロと共演した『21グラム』(03)で初めてアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、『インポッシブル』(12)でも再び同賞の候補に。そのほかの主な出演作は『ル・ディヴォース/パリに恋して』(03)、『ハッカビーズ』(04)、『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』(04)、『ステイ』(05)、『ファニーゲームU.S.A.』(07)、『愛する人』(09)、『ザ・バンク 堕ちた巨像』(09)、『恋のロンドン狂騒曲』(10)、『フェア・ゲーム』(10)、『ドリームハウス』(11)、『J・エドガー』(11)、『美しい絵の崩壊』(13)、『ダイアナ』(13)、『アバウト・レイ 16歳の決断』(15)、『ガラスの城の約束』(17)、『オフィーリア』(18・未)など。

オクタヴィア・スペンサー

|ハリエット・ウィルソン|
1970年、アラバマ州モンゴメリー生まれ。オーバーン大学でリベラルアーツの学士を取得。『ロング・ウォーク・ホーム』(94)のセットでインターンとして働き、ロサンゼルスへ移り住む。キャスティングの仕事を経験したのち、『評決のとき』(96)の看護師役で映画デビューを果たした。その後『マルコヴィッチの穴』(99)、『25年目のキス』(99)、『バッド・サンタ』(03)、『コーチ・カーター』(05)、『スペル』(09)などの話題作に小さな役で出演。人種差別をテーマにしたヒューマン・ドラマ『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』(11)におけるメイドのミニー役で絶賛を博し、アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞を含む数多くの助演女優賞を受賞した。セオドア・メルフィ監督の実録ドラマ『ドリーム』(16)、ギレルモ・デル・トロ監督のダーク・ファンタジー『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)でもアカデミー賞助演女優賞にノミネートされている。そのほかの主な出演作は『フルートベール駅で』(13)、『ジェームズ・ブラウン ~最高(ソウル)の魂を持つ男~』(14)、『ダイバージェントNEO』(15)、『gifted/ギフテッド』(17)、『アメイジング・ジャーニー 神の小屋より』(17)、『インスタント・ファミリー ~本当の家族見つけました~』(18・未)、『スモール・タウン・クライム-回り道の正義-』(18・未)、アップルTV配信の「真相 Truth Be Told」(19)、『ドクター・ドリトル』(20)、『2分の1の魔法』(20)など。

ケルヴィン・ハリソン・Jr.

|ルース・エドガー|
1994年、ルイジアナ州ニューオーリンズ生まれ。ミュージシャンの両親のもとで育ち、音響工学やマーケティングを専攻するが、俳優業を志してロサンゼルスに移り住む。アカデミー賞作品賞に輝いたスティーヴ・マックィーン監督作品『それでも夜は明ける』(13)の小さな役でデビュー。その後は「シカゴP.D.」「NCIS:ニューオーリンズ」といったTVシリーズ、ネイト・パーカーが監督、主演を務めた歴史ドラマ『バース・オブ・ネイション』(16・未)、Netflixの『マッドバウンド 哀しき友情』(17・未)に出演する。トレイ・エドワード・シュルツ監督作品が終末世界を背景に撮り上げたスリラー『イット・カムズ・アット・ナイト』(17)では、ゴッサム・インディペンデント映画賞のブレイクスルー賞にノミネートされた。『ルース・エドガー』ではトロント国際映画祭ライジング・スター賞など数多くの賞を受賞し、英国アカデミー賞ライジング・スター賞にノミネート。再びシュルツ監督と組んだ青春映画『WAVES/ウェイブス』(19)では主演を務めている。そのほかの主な出演作は『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』(18)、『アサシネーション・ネーション』(18・未)など。

ティム・ロス

|ピーター・エドガー|
1961年、イギリス・ロンドン生まれ。ロンドン芸術大学キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツで彫刻を専攻するが、俳優を志して大学を中退した。舞台とテレビ作品に出演したのち、『殺し屋たちの挽歌』(84)でイブニング・スタンダード賞の新人賞を受賞。『コックと泥棒、その妻と愛人』(89)、『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』(90)などで存在感を高め、ロバート・アルトマン監督作品『ゴッホ』(90)では天才画家を演じた。さらにクエンティン・タランティーノ監督作品『レザボア・ドッグス』(91)、『パルプ・フィクション』(94)で鮮烈なインパクトを放ち、世界的な名声を確立した。歴史ドラマ『ロブ・ロイ/ロマンに生きた男』(95)ではアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の助演男優賞候補となり、英国アカデミー賞助演男優賞を受賞。『リトル・オデッサ』(94)、『海の上のピアニスト』(99)、『猿の惑星 PLANET OF THE APES』(01)、『或る終焉』(15)などでの名演技も忘れがたい。そのほかの主な出演作は『恋愛の法則』(93)、『ライアー』(97)、『宮廷料理人ヴァテール』(00)、『神に選ばれし無敵の男』(01)、『アメリカ、家族のいる風景』(05)、『コッポラの胡蝶の夢』(07)、『インクレディブル・ハルク』(08)、『ブロークン』(12・未)、『グローリー 明日への行進』(14)、『ヘイトフル・エイト』(15)、TVシリーズ「ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間」など。監督作に『素肌の涙』(98)がある。

スタッフ

  • 監督・製作・共同脚本:ジュリアス・オナー

    1983年、ナイジェリア・ベヌエ州マクルディ生まれ。外交官の父親とともに渡米し、『ルース・エドガー』の舞台となったバージニア州アーリントンの高校を卒業。ウェスリアン大学で演劇の学士号、ニューヨーク大学ティッシュ芸術学校で美術の修士号を取得した。2004年からコンスタントに数多くの短編を発表。スパイク・リーが製作総指揮に名を連ねたクライム・スリラー『The Girl Is in Trouble』(15)で長編デビューを果たした。続いて『クローバーフィールド HAKAISHA』(08)の前日譚とも言えるNetflix配信のSFスリラー『クローバーフィールド・パラドックス』(18・未)の監督に抜擢され、プロデューサーのJ・J・エイブラムスとのコラボレーションを経験した。双子の兄弟であるアンソニー・オナーもフィルムメーカーとして活動している。

配信

2020年12月2日(水)より各種プラットフォームにて配信開始

ルース・エドガー

2019年/アメリカ/原題:LUCE/英語/カラー/SCOPE/5.1ch/109分/PG12
提供:キノフィルムズ/配給:キノフィルムズ・東京テアトル
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