キノフィルムズ

公開終了
2019年4月19日(金)公開

幸福なラザロ

驚きと発見。世界が瞠目した新しい才能。
前作『夏をゆく人々』で鮮烈な印象を残し、世界が注目した才能アリーチェ・ロルヴァケル待望の監督最新作!
実際に起きた詐欺事件から着想された寓話的ミステリー。
ラザロの無垢なる魂がもたらす圧倒的な幸福感に満たされる――。

イントロダクション

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2018年カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『万引き家族』と共にコンペティション部門で話題をさらい、見事脚本賞を受賞。北米公開時には、マーティン・スコセッシが絶賛し、映画完成後にプロデューサーに名乗りを上げる異例のバックアップをするなど、観た人を感動の渦に巻き込んでいる。
時は20世紀後半。イタリアの小さな村で純朴なラザロと村人たちは、小作制度の廃止を隠蔽する侯爵夫人に騙され、社会と隔絶した生活を強いられていた。ところが夫人の息子タンクレディが起こした誘拐騒ぎをきっかけに村人たちは初めて外の世界へ出て行くことになる。だが、ラザロにある事件が起き・・・。
フェリーニ、ヴィスコンティ、パゾリーニ、イタリア映画史に燦然と輝く巨匠たちの遺伝子を受けつぐロルヴァケル監督は、本作で時空を超えた壮大なドラマを生み出し、新しい地平を切り開いた。

ストーリー

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渓谷で外の世界と隔絶されたインヴィオラータ村(「汚れなき村」の意)。村人たちは領主であるデ・ルーナ侯爵夫人(ニコレッタ・ブラスキ)に支配されていた。
彼らの中に誰よりも働き者の若い農夫がいた。彼の名はラザロ(アドリアーノ・タルディオーロ)。お人好しが過ぎるあまり仲間から軽んじられ、仕事を押し付けられていた。
ある時、侯爵夫人の美しい息子タンクレディ(ルカ・チコヴァーニ)が町からやってくる。タンクレディはラザロを仲間に引き入れて自身の誘拐騒ぎを演出し、二人は強い絆で結ばれるようになる。
その頃誘拐事件を発端に、インヴィオラータ村の存在が、領主による大規模な労働搾取の事件現場として世の中に報道される。結局村人たちは、揃って住み慣れた村から出ることになるのだが、ラザロだけは・・・・・・。

アドリアーノ・タルディオーロ

|ラザロ|
1998年イタリア・ウンブリア州オルヴィエート生まれ。本作で俳優デビュー。公立高校在学中にスカウトされ、1,000人以上の同年代男子の中から発掘された。演技の経験はなかったが、アリーチェ・ロルヴァケル監督の説得もあり、ラザロ役を引き受けることになる。決め手は脚本が気に入ったことと、新たな経験への好奇心だった。現在、ヴィテルボ大学で経済学を学んでいる。

アルバ・ロルヴァケル

|成長したアントニア|
1979年、イタリア・トスカーナ州フィエーゾレ生まれ。本作のアリーチェ監督の姉。シルヴィオ・ソルディーニ監督『日々と雲行き』(07)で第52回ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞助演女優賞を受賞、プピ・アヴァティ監督『ボローニャの夕暮れ』(08)で第53回・同・主演女優賞を受賞、続くジョルジョ・ディリッティ監督『やがて来たる者へ』(09)で、第54回・同・助演女優賞ノミネート。2014年、サヴェリオ・コスタンツォ監督『ハングリー・ハーツ』では、アダム・ドライバーと共に、ヴェネチア国際映画祭で主演男優賞、主演女優賞(金獅子賞)をダブル受賞した。他に、ルカ・グァダニーノ監督『ミラノ、愛に生きる』(09)、マルコ・ベロッキオ監督『眠れる美女』(12)、マッテオ・ガローネ監督『五日物語 -3つの王国と3人の女-』(15)、パオロ・ジェノヴェーゼ監督『おとなの事情』(16)など出演作品多数の実力派女優。アリーチェ監督の『夏をゆく人々』(14)にも出演。

ニコレッタ・ブラスキ

|マルケッサ・アルフォンシーナ・デ・ルーナ(侯爵夫人)|
1960年8月10日、イタリア・エミリア=ロマーナ州チェゼーナ生まれ。夫は俳優であり映画監督のロベルト・ベニーニ。ベニーニ監督作では『ジョニーの事情』(91)、『ライフ・イズ・ビューティフル』(98)、『ピノッキオ』(02)、『人生は、奇跡の詩』(05)に出演している。その他の主な映画出演作にジム・ジャームッシュ監督『ダウン・バイ・ロー』(86)、『ミステリー・トレイン』(89)、ベルナルド・ベルトルッチ監督『シェルタリング・スカイ』(90)等がある。

ルカ・チコヴァーニ

|タンクレディ|
Youtubeチャンネル、SNSで支持を集める新世代アーティスト。1994年、ジョージア・トビリシに生まれ、母親とローマに移住。人気アーティストのヒット曲をカバーした動画をYoutubeに投稿したことで注目を集める。彼がカバーしたジャスティン・ビーバーの「Love Yourself」(エド・シーラン作曲)やワン・ダイレクションの「Drag me down」などの動画は合わせて500万回以上視聴された。2016年にユニバーサル ミュージックとレコード契約を結び、アルバム「Start」をリリース。本作で映画デビュー。

セルジ・ロペス

|ウルティモ|
1965年スペイン・カタルーニャ州ビラノバ・イ・ラ・ジャルトル生まれ。スペイン語、カタルーニャ語、フランス語、英語に堪能で、フランス、スペインの映画と舞台を中心に活躍している。マニュエル・ポワリエ監督『アントニオの恋人』(TV/92)で映画デビューし、『マリオン』(F/97)『ニノの空』(97)などのポワリエ監督作品に出演。2000年、ドミニク・モル監督『ハリー、見知らぬ友人』で第26回セザール賞主演男優賞受賞。ギレルモ・デル・トロ監督『パンズ・ラビリンス』(06)では、冷酷で残忍なキャラクターで強烈な印象を残した。他に、フランソワ・オゾン監督『Ricky リッキー』(09)『しあわせの雨傘』(10)、フレデリック・フォンテーヌ監督『タンゴ・リブレ 君を想う』(12)等、出演作多数。

アニェーゼ・グラツィアーニ

|アントニア|
アリーチェ・ロルヴァケル監督作は、『夏をゆく人々』(14)に続いて2作目。『夏をゆく人々』では、四姉妹の次女マニネッラ役を演じた。

トンマーゾ・ラーニョ

|成長したタンクレディ|
1967年7月23日、イタリア・プッリャ州ヴィエステ生まれ。主な映画出演作にベルナルド・ベルトルッチ監督『孤独な天使たち』(12)、パオロ・ヴィルズィ監督『歓びのトスカーナ』(16)などがある。

スタッフ

  • 監督・脚本:アリーチェ・ロルヴァケル

    1981年、イタリア・トスカーナ州フィエーゾレ生まれ。ドイツ人の父とイタリア人の母を持つ。トリノとポルトガル・リスボンで学んだ。音楽、ドキュメンタリー制作のほか、劇場での編集者や作曲家としての仕事を経て、初長編劇映画『天空のからだ』(F/11)を発表。レッジョ・カラブリアを舞台に思春期の少女の歩みを瑞々しく描いたこの作品は、第64回カンヌ国際映画祭監督週間に選出され、各地の映画祭で上映された。続いて、自身の体験をもとに養蜂家の家族を描いた『夏をゆく人々』(14)は、長編二作目して、第67回カンヌ国際映画祭グランプリを受賞した。
    2015年、ファッションブランド ミュウミュウの企画、女性監督が21世紀の女性らしさを称えるショートフィルムシリーズ「女性たちの物語」の第9弾として「De Djess」を発表。この企画には他に河瀬直美、アニエス・ヴァルダ、ミランダ・ジュライ、ダコタ・ファニング等が参加している。そして本作『幸福なラザロ』は、2018年第71回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞するなど、いまやパオロ・ソレンティーノと並び、イタリア映画界を代表する監督の一人である。

  • 撮影:エレーヌ・ルヴァール

    1964年フランス、ポンタルリエ生まれ。1985年ルイ・リュミエール国立学校を卒業。数本の短編の撮影を経て、サンドリーヌ・ヴェイセ監督の『クリスマスに雪はふるの?』(96)で長編の撮影監督として起用される。ヴェイセ監督作では『ヴィクトール 小さな恋人』(98)『マルタ…、マルタ』(01)でも撮影監督を務めた。
    その他、ジャック・ドワイヨン監督『ラジャ』(F/03)『誰でもかまわない』(F/08)、クリストフ・オノレ監督『ジョルジュ・バタイユ ママン』(04)、アニエス・ヴァルダ監督『アニエスの浜辺』(08)、ヴィム・ヴェンダース監督『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』(11)などがあり、長編映画以外にも短編映画、ドキュメンタリー、テレビ作品なども含め多くを手掛けている。一連の作品と、芸術的な卓越性を評して、2012年にWome n's International Film & Television Showcase(TheWIFTS Foundation)にて撮影監督賞を受賞。アリーチェ・ロルヴァケル監督作『天空のからだ』(F/11)『夏をゆく人々』(14)の撮影も担当した。

  • 編集:ネリー・ケティエ

  • 音楽:ピエロ・クルチッティ

  • 美術:エミータ・フリガート

  • 衣装:ロレダーナ・ブシェミ

  • 製作プロダクション:テンペスタ

  • プロデューサー:カルロ・クレスト=ディナ

配信

2019年11月2日(土)より各種プラットフォームにて配信開始

幸福なラザロ

2018年/イタリア/原題:Lazzaro Felice/英題:Happy as Lazzaro/127分/G
配給:キノフィルムズ・木下グループ
©2018 tempesta srl ・ Amka Films Productions・ Ad Vitam Production ・ KNM ・ Pola Pandora RSI ・ Radiotelevisione svizzera・ Arte France Cinema ・ ZDF/ARTE
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