キノフィルムズ

公開終了
2018年6月23日(土)公開

告白小説、その結末

ベストセラー作家と熱狂的なファン――
ふたりの女性の危ういほどスリリングな関係に、
鬼才・ポランスキーが仕掛ける戦慄のミステリー

イントロダクション

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フランスで今もっとも注目されている作家デルフィーヌ・ド・ヴィガンの小説「デルフィーヌの友情」を映像化したのは巨匠ロマン・ポランスキー。熟練の技巧を凝らして随所に意味ありげな描写を織り交ぜながら、ふたりのヒロインがたどる予測不能の運命をスリリングに映し出す。人間の孤独とアイデンティティーの揺らぎ、密室的なシチュエーションで膨れ上がる極限の不安、じわじわと曖昧になっていく現実とフィクションの境目。これらまさしくポランスキー的なサスペンスと倒錯が渦巻く映像世界は、ひとときもスクリーンから目が離せず、ラスト・シーンを見届けた後もしばし観客を幻惑する。
ふたりのヒロインを演じるのは、エマニュエル・セニエとエヴァ・グリーン。また、『夏時間の庭』のオリヴィエ・アサイヤス監督が、ポランスキーと共同脚本を務めた。さらに『戦場のピアニスト』『ゴーストライター』の撮影監督パヴェウ・エデルマン、先頃『シェイプ・オブ・ウォーター』で2度目のアカデミー賞®作曲賞を受賞したアレクサンドル・デスプラらの一流スタッフが、ポランスキーの魔術的な演出を確かに支えている。

ストーリー

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心を病んで自殺した母親との生活を綴った私小説がベストセラーとなった後、スランプに陥っているデルフィーヌの前に、ある日、熱狂的なファンだと称する聡明で美しい女性エル<彼女>が現れる。差出人不明の脅迫状にも苦しめられるデルフィーヌは、献身的に支えてくれて、本音で語り合えるエルに信頼を寄せていく。まもなくふたりは共同生活を始めるが、時折ヒステリックに豹変するエルは、不可解な言動でデルフィーヌを翻弄する。はたしてエルは何者なのか? なぜデルフィーヌに接近してきたのか? やがてエルの身の上話に衝撃を受けたデルフィーヌは、彼女の壮絶な人生を小説にしようと決意するが、その先には作者自身にも想像できない悪夢のような“結末”が待ち受けていた……。

エマニュエル・セニエ

|デルフィーヌ|
1966年、フランス・パリ生まれ。祖父は俳優のルイ・セニエ。写真家の父、ジャーナリストの母の間に生まれ、14歳の時にモデルの活動を始めた。ジャン=リュック・ゴダール監督作品『ゴダールの探偵』(85)で映画デビューしたのち、ロマン・ポランスキー監督と出会い、『フランティック』(88)でハリソン・フォード扮する主人公と行動を共にする謎めいた美女を演じた。1989年にポランスキーと結婚。同監督の官能的なドラマ『赤い航路』(92)、川端康成の「眠れる美女」をモチーフにしたクロード・ミレール監督作品『オディールの夏』(94)でも鮮烈な印象を残した。その後の主な出演作は『ヴァンドーム広場』(98)、『バディ・ボーイ』(99)、『ナインスゲート』(99)、『潜水服は蝶の夢を見る』(07)、『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』(07)、『ジャーロ』(09)、『エッセンシャル・キリング』(10)、『母の身終い』(12)、『危険なプロット』(12)、『あさがくるまえに』(16)など。ポランスキー監督の前作『毛皮のヴィーナス』(13)では、オーディション会場で舞台演出家を惑わす無名の女優役でセザール賞主演女優賞にノミネートされた。

エヴァ・グリーン

|エル|
1980年、フランス・パリ生まれ。母親は女優のマルレーヌ・ジョベール。パリのエヴァ・サン=ポール演劇学校、ロンドンのウェバー・ダグラス演技学校で学び、舞台で女優のキャリアを踏み出す。巨匠ベルナルド・ベルトルッチの『ドリーマーズ』(03)で映画デビューを果たし、『ルパン』(04)、『キングダム・オブ・ヘブン』(05)に出演した。その華やかなスター性と実力を世界中に知らしめたのは、ジェームズ・ボンドと恋に落ちるヴェスパー・リンド役で英国アカデミー賞のライジング・スター賞を受賞した『007/カジノ・ロワイヤル』(06)。その後は『ライラの冒険 黄金の羅針盤』(07)、『パーフェクト・センス』(11)、『ダーク・シャドウ』(12)、『シン・シティ 復讐の女神』(13)、『300〈スリーハンドレッド〉 ~帝国の進撃~』(14)、『悪党に粛清を』(15)、2014年スタートのTVシリーズ「ナイトメア ~血塗られた秘密~」などの話題作に出演している。最近では、ティム・バートン監督との2度目のコンビ作『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』(16)でカリスマ性あふれる存在感を発揮した。

ヴァンサン・ペレーズ

|フランソワ|
1964年、スイス・ローザンヌ生まれ。18歳の時にフランスに移り住み、コンセルヴァトワールで演技を学ぶ。『夜の天使』(86)で映画デビュー。ジェラール・ドパルデューと共演した『シラノ・ド・ベルジュラック』(90)で持ち前の甘いマスクが注目され、『インドシナ』(92)、『王妃マルゴ』(94)といった歴史大作でも世界中の女性ファンを魅了した。それ以降の主な出演作は『愛のめぐりあい』(95)、『THE CROW/ザ・クロウ』(96)、『輝きの海』(97)、『愛する者よ、列車に乗れ』(98)、『見出された時-「失われた時を求めて」より-』(99)、『花咲ける騎士道』(03)、『(ほとんど)チャーミングな王子』(13・未)、『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』(14)など。また『天使の肌』(02)で長編監督デビューを飾り、東野圭吾の小説を映画化した第2作『秘密 THE SECRET』(07・未)を発表。ナチス・ドイツに抵抗したベルリン在住の夫婦を主人公にした第3作『ヒトラーへの285枚の葉書』(16)が昨年日本公開されたことも記憶に新しい。

スタッフ

  • 監督:ロマン・ポランスキー

    1933年、フランス・パリ生まれ。3歳の時にポーランドに移り住むが、第二次世界大戦中にナチスのユダヤ人狩りで両親を収容所に送られ、自身も逃亡生活を送る。ウッチ映画大学で学び、短編映画の監督、俳優として活動。水上のヨットを舞台にしたサスペンス映画『水の中のナイフ』(62)で長編監督デビューを飾った。カトリーヌ・ドヌーヴ主演のサイコ・スリラー『反撥』(64)でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞し、続く不条理喜劇『袋小路』(66)では同・金熊賞に輝いた。『吸血鬼』(67)で出会った女優シャロン・テートと結婚し、オカルト映画『ローズマリーの赤ちゃん』(68)でハリウッドでの成功を収めるが、1969年にカルト集団によってテートを殺されてしまう。その悲劇を乗り越えて『マクベス』(71)、『ポランスキーの欲望の館』(72・未)を発表し、ハードボイルド・ミステリー『チャイナタウン』(74)でアカデミー賞®11部門にノミネート。自ら主演を兼任した異常心理劇『テナント/恐怖を借りた男』(76・未)を経て、トマス・ハーディ原作の文芸大作『テス』(79)でもアカデミー賞®7部門の候補に名を連ねた。その後は『ポランスキーのパイレーツ』(86・未)、ハリソン・フォード主演のサスペンス映画『フランティック』(88)、現在の妻でもあるエマニュエル・セニエが艶めかしい魅力を放った官能映画『赤い航路』(92)、ブロードウェイ戯曲の映画化『死と処女(おとめ)』(95)、ジョニー・デップが希少本の捜索人を演じた『ナインスゲート』(99)を発表。そして自身の記憶を反映させた実録戦争ドラマ『戦場のピアニスト』(02)で絶賛を博し、カンヌ国際映画祭パルムドール、アカデミー賞®監督賞などを受賞した。それ以降も『オリバー・ツイスト』(05)、元英国首相の伝記代筆人が政治的陰謀に巻き込まれるベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作『ゴーストライター』(10)、ジョディ・フォスターらと組んだコメディ『おとなのけんか』(11)、マチュー・アマルリックとE・セニエ主演の心理劇『毛皮のヴィーナス』(13)を世に送り出す。自身の波瀾万丈の人生を語ったドキュメンタリー『ロマン・ポランスキー 初めての告白』(12/ロラン・ブーズロー監督)も作られている。

  • 脚本:オリヴィエ・アサイヤス

    1955年、フランス・パリ生まれ。カイエ・デュ・シネマ誌に批評を寄稿し、何本かの短編映画を製作。アンドレ・テシネ監督作品『ランデヴー』(85)に共同脚本で携わったのち、『無秩序』(86)で長編監督デビューを飾る。ヴィルジニー・ルドワイヤンを主演に抜擢した青春映画『冷たい水』(94・未)、マギー・チャンと組んだ異色コメディ『イルマ・ヴェップ』(96)などで注目を集めた。『感傷的な運命』(00)で初めてカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出。『DEMONLOVER デーモンラヴァー』(02)、『クリーン』(04)、『アクトレス ~女たちの舞台~』(14)に続き、5本目のコンペ出品作となったクリステン・スチュワート主演の心霊ミステリー『パーソナル・ショッパー』(16)で監督賞を初受賞した。実在のテロリストの半生をTVミニ・シリーズとして映像化し、日本では劇場公開された『カルロス』(10)でも、ニューヨーク批評家協会賞の外国語映画賞など数多くの賞に輝いている。そのほかの主な作品は『HHH:侯孝賢』(97)、『8月の終わり、9月の初め』(98)、『NOISE』(06)、『パリ、ジュテーム』(06)、『レディ・アサシン』(07・未)、『夏時間の庭』(08)、『5月の後』(12・未)など。

  • 原作:デルフィーヌ・ド・ヴィガン 「デルフィーヌの友情」(水声社刊)

    1966年生まれ。現在、もっとも注目されているフランス女性作家の一人で、作品は各国語に翻訳されている。日本に紹介された作品に、「ノーと私」、フナック文学賞はじめ数々の賞を受賞した「リュシル 闇のかなたに」等がある。本作の原作「デルフィーヌの友情」は、フランスのもっとも権威ある文学賞のひとつであるルノドー賞や、高校生の選ぶゴンクール賞を受賞している。

  • 音楽:アレクサンドル・デスプラ

配信

2019年1月9日(水)より各種プラットフォームにて配信開始

告白小説、その結末

2017年/フランス・ベルギー・ポーランド/シネマスコープ/5.1ch/100分/G
配給:キノフィルムズ・木下グループ
© 2017 WY Productions, RP Productions, Mars Films, France 2 Cinéma, Monolith Films. All Rights Reserved.
※配信開始日・終了日は各プラットフォームにより異なる場合がございます。Blu-ray・DVDはメーカーウェブサイト、各小売店等にてお買い求めください。