キノフィルムズ

公開終了
2023年9月29日(金)公開

ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇

ゴルチエの自叙伝エンタテインメント「ファッション・フリーク・ショー」
豪華絢爛なステージが出来るまでをドキュメント

イントロダクション

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2018年パリで初演を迎え、その後ロンドン公演を経て、2023年には東京・大阪の上演でアジア初上陸を果たし全世界35万人の観客を熱狂の渦に巻き込んだミュージカル「ファッション・フリーク・ショー」。企画・脚本・演出を手掛けたのはパリを代表する天才ファッションデザイナー、ジャンポール・ゴルチエだ。彼自身の半生をベースにしたショーの舞台裏を覗くと、創造の喧騒に満ちていた。

ステージでは、ゴルチエの絢爛豪華なオートクチュールを着飾ったダンサーがキレッキレに踊り狂う。パリコレで発表されたゴルチエの名作が続々と登場し、衣装のみならず舞台美術もスペクタクルかつファッショナブル。ショーミュージックは彼がデビューし大活躍した1970、80年代を代表するナイル・ロジャース、マドンナ、デヴィッド・ボウイ、ボーイ・ジョージらの名曲をゴルチエ自らチューン。彼のコレクションのようにエレガントでキッチュ、クラシックでパンク、扇情的で社会的に仕上がっている。この相反するテイストはゴルチエ・デザインの真骨頂でもある。

そんなゴージャスなミュージカルの企画からプレミアまでを、ゴルチエとその周りのクリエーターの声を交えて追う。デザイナーを志すこととなった幼少期の体験から、異端児としての苦悩や迷い、オートクチュール(高級注文服)に対する執念、アイコンデザインが生まれたエピソード、ビジネスパートナーでもあった最愛の人との出会いと死まで、激動の生涯がゴルチエ自身の口から語られる。半世紀にわたり第一線でファッション界を牽引してきた彼の人生を支えたスペシャリストや友人たちも証言。一流ファッションデザイナーと言うと、非常にワガママもしくはとてもシャイというイメージが多いが、ゴルチエは大変気さく。チームから出されたアイデアを尊重する姿勢は、彼がここまでキャリアを築いた理由の一端が垣間見える。ゴルチエのためなら、と皆口をそろえて協力するのだ。

ゴルチエのパリコレに出ているおなじみのモデルたちも続々登場。スペインの女優ロッシ・デ・パルマは小学校の教師役で出演。たびたびゴルチエが衣装を担うペドロ・アルモドバル監督の映画でもおなじみの女優だ。ゴルチエがピカソの絵のようだと評するパルマは、阿吽の呼吸でコミカルかつヒステリックな教師を演じる。BGMで流れるマドンナもゴルチエの盟友。コーンブラ&コルセットでパフォーマンスするライブ衣装を見たことがある人も多いだろう。煌びやかなメットガラでの2人の様子がうかがえる。

ゴルチエは言う、「“違う”ことは、美しい」。彼のクリエーションは多様性に溢れ、この2020年代の世相を先取りしていた。美しいフリーク達が繰り広げるグラマラスでファンタスティックなショーの開幕までを追った、今だからこそ世に問うべきエンタテインメント・ドキュメンタリー。

ストーリー

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奇想天外&ファンタスティックなデザインで有名なクチュリエ(男性デザイナー)、ジャンポール・ゴルチエ。ファッションシーンで旋風を巻き起こしてきた彼が今回挑むのは、ミュージカル「ファッション・フリーク・ショー」だ。自身のコレクションと2足の草鞋を履いて創り上げるショーの舞台裏はトラブルの連続だった。
衣装合わせ、初のリハーサル、ダンサーの故障、演出のいざこざなどアクシデントに見舞われるゴルチエとそのチーム。制作が進むに連れて明かされるゴルチエの真実。愛するテディベアや親愛なるマリーおばあちゃん、唯一無二の恋人フランシス、1976年初のファッションショーの評価……本当のゴルチエが紐解かれる。マドンナ、ロッシ・デ・パルマ、カトリーヌ・ドヌーヴらゴルチエのミューズもカメオ出演。ファッション界の女帝アナ・ウィンターもなんと登場!
1970、80年代を彩ったヒットナンバー、豪華絢爛なオートクチュール、トップデザイナーが見せる仕事へのこだわりが詰まった制作秘話をドキュメント。果たして無事初日を迎えられるのか!?

ジャンポール・ゴルチエ

1952年パリ郊外に生まれ。1970年、18歳の誕生日にピエール・カルダンの元でキャリアをスタートさせる。その後エステレル、パトゥ、そして再びカルダンでの勤務を経て、自分のメゾンを立ち上げることを決意し、1976年パリで初のショーを開催、注目を集める。
80年代初頭には注目の若手デザイナーの一人と見なされるようになる。ゴルチエはキャリアをスタートさせた当初から、美にはさまざまな側面があること、そして、後に大ヒットした香水のパッケージになったブリキ缶のように、美は意外なところにあることを示したいと考えていた。
1984年に「Male Object」のメンズコレクションを発表、1997年には念願だったオートクチュールコレクション「Gaultier Paris」を立ち上げる。また、2004年から2011年までエルメスのレディース部門のデザイナーを務めた。
ゴルチエはそのキャリアを通じて、音楽や映画の分野でも活躍。マドンナの「ブロンド・アンビション・ワールド・ツアー」の衣装は、ポップカルチャーに確固たる足跡を残している。
映画では、1990年の『コックと泥棒、その妻と愛人』でピーター・グリーナウェイ監督と初のコラボレーションを行った。また、ジャン=ピエール・ジュネ&マルク・キャロ監督の『ロスト・チルドレン』、リュック・ベッソン監督の『フィフス・エレメント』の衣装デザインも手がけ、ペドロ・アルモドバル監督とは『キカ』、『バッド・エデュケーション』、『私が、生きる肌』の作品で三度仕事を共にしている。また、有名女優や歌手の衣装も数多く手がけ、その中にはカトリーヌ・ドヌーヴ、ベス・ディットー、マドンナ、レア・セドゥ、リリー・コール、グウィネス・パルトロウがいる。
2012年のカンヌ国際映画祭では審査員も務めるなど、他分野でも活躍。
2020年の春夏オートクチュールコレクションを最後に引退を表明。世界で最も有名なファッションデザイナーの一人である。

マドンナ

カトリーヌ・ドヌーヴ

ロッシ・デ・パルマ

ナイル・ロジャース

マリオン・コティヤール

スタッフ

  • 監督:ヤン・レノレ

    フランス、コート・ダルモール県プレスタン=レ=グレーヴ出身。1998年にキャリアをスタートさせ、Canal+で放送された『Le Journal de François Pêcheux(原題)』『It's open on Saturday(原題)』等を番組ディレクターとして担当。また、「The (K) Kounen」という個人的なプロジェクトも立ち上げ、30年間ヤン・クーネン監督の人生を追跡した。その後、5年間はステファーヌ・ジョベールと撮影を行い、フランス5で放送された『Forks and Backpack(原題)』や自らの企画としてCanal+の『The New Explorers(原題)』、アルテでは 『Through Your Eyes(原題)』『By Plane(原題)』を担当。
    2016年にはフランスの柔道家テディ・リネールのリオ五輪に向けたトレーニングを3年間かけて撮影し、2017年には選挙中のエマニュエル・マクロンを描いた話題のドキュメンタリー『Emmanuel Macron: Behind the Rise(原題)』を監督、Netflixで配信された。
    作品制作を重ねる度に、監督は撮影においてリズムをつけ、自分の主観を避けて客観性を保ちつつ、日常の細部をつぶさにカメラに収める手法に長けていった。例えば、テディ・リネールの作品では、アスリートの息づかいと皮膚が溶け込んでいるような映像を生み出し、エマニュエル・マクロン作品では、シークエンスショットで、大統領候補者をあらゆる角度から総体的に撮影している。
    ヤン・レノレは次のように述べている。「私は監督であって、ジャーナリストではない。私は撮影対象となった人物と話すことはない。その結果、親密で感動的、力強くリアルなドキュメンタリーを感受性豊かに観客に見せることができる」

    <フィルモグラフィ>
    2019年 『Jean Paul Gaultier: Freak & Chic(原題)』
    2017年 『Emmanuel Macron: Behind the Rise(原題)』
    2016年 『Dans l'ombre de Teddy Riner(原題)』
    2013年 『Through Your Eyes(原題)』『By Plane(原題)』
    2010年 『The New Explorers(原題)』

ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇

2018年/フランス/原題:Jean Paul Gaultier: Freak & Chic/フランス語・英語・スペイン語/カラー/シネスコ/5.1ch/96分/G
提供:木下グループ/配給:キノフィルムズ

© CANAL+ / CAPA 2018