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2021年2月24日(水)より各種プラットフォームにて配信開始
世界中で最も愛されている舞台劇の一つ、「シラノ・ド・ベルジュラック」。19世紀末、ベルエポック時代のフランスで大成功を収めた大人の純愛物語で、当時パリを沸かせた熱狂は今も全く衰えることなく、アメリカではブロードウェイで幾度も上演され、ハリウッドで映画化もされた。日本でも、文学座や劇団四季、宝塚など数多くの一流劇団が名舞台を演劇史に刻んでいる。だが、そんな大傑作の初演までの舞台裏は、驚きのトラブル続出だった。この大傑作の愉快で痛快、最後は最高に爽快な誕生秘話の映画化が実現した!
主人公の劇作家エドモン役には『最強のふたり』の新鋭トマ・ソリヴェレス、大物俳優コクラン役にはダルデンヌ兄弟監督の『息子のまなざし』でカンヌ国際映画祭男優賞に輝いたベルギーの至宝オリヴィエ・グルメ、エドモンの妻にはフランソワ・オゾン監督の『婚約者の友人』で深い印象を残したアリス・ドゥ・ランクザン。監督・原案・脚本は、2016年に上演された本作の舞台版でモリエール賞5部門を受賞して大喝采を浴び、自ら映画化に乗り出したアレクシス・ミシャリク。
こんな時代だからこそ、人生崖っぷちの人々が、あきらめずに一歩前へと進み、奇跡を起こそうとする姿にパワーと笑顔をもらう、一発逆転エンターテイメント!
「とんだ駄作だな。1週間で打ち切る」と、パリの名立たる劇場の支配人から宣告されてしまった、無名の劇作家にして詩人のエドモン・ロスタン(トマ・ソリヴェレス)。時は1895年、主演の大女優サラ・ベルナール(クレマンティーヌ・セラリエ)に気に入られたことだけが、若きアーティストの唯一の収穫だった。
それから2年、エドモンはスランプ一直線。そんな時、サラが名優コンスタン・コクラン(オリヴィエ・グルメ)に口をきいてくれる。だが、それは2時間後にコクランに新しい作品を持って行けというムチャぶりだった。
カフェでまっ白なノートを前に呆然としていたエドモンは、店主のオノレ(ジャン=ミシェル・マルシアル)からヒントを得て、「醜男だが行いは華麗な人物」という設定を思いつき、実在した剣術家にして作家のシラノ・ド・ベルジュラックを主人公にしようと決める。しかし、シラノは200年も前の人物、あくまでキャラクターを借りるだけで、ストーリーは自力で生み出さねばならない。思いつく限りのアイディアを並べ立てるエドモンにコクランは、「喜劇」を条件にゴーサインを出すのだった。
しかし多額の借金から、「パリ中の劇場から追放する」と古巣の支配人にキレられてしまうコクラン。そこで来年の1月1日まで借りているポルト・サン=マルタン座で、急遽「シラノ~」を上演すると決める。今日は12月5日、まだ1ページも書けていないのに、もはや時間がない!
プレッシャーに押しつぶされるエドモンの前に、友人で俳優のレオ(トム・レーブ)が現れ、衣装係のジャンヌ(リュシー・ブジュナー)へのラブレターにアドバイスを求める。最初は渋々、愛の言葉を紡ぐうちに、エドモンの脳裏に次々とアイディアが! しかも、詩心のあるジャンヌからの返事も、創作意欲を掻き立ててくれる。エドモンはレオに成りすましてジャンヌと文通を始め、胸躍る物語を生み出すのだった。
レオとジャンヌ、さらに浮気を疑う妻を騙し、台詞に文句ばかりのヒロイン女優をなだめ、台本を書き続けるエドモン。ところが、初日1週間前、予想もしなかった危機が劇団を襲う──!
|エドモン・ロスタン|
1990年、フランス・パリ近郊出身。兄の影響で6歳にして舞台に立ち、舞台経験を積みながらTVCMにも多く出演する。エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ監督に見出され『最強のふたり』(11)で小さな役を得ると、以降、多くのコメディ映画にキャスティングされるようになる。2014年、『A Toute épreuve』(アントワーヌ・ブロシエ監督)で初の主演を務め、同年、メラニー・ロランがメガホンを取った長編映画『呼吸』にも出演。『アンジュとガブリエル ベイビーに一目惚れ』(15、アンヌ・ジアフェリ監督)ではパトリック・ブリュエル、『ムッシュ・アンリと私の秘密』(15、イヴァン・カルヴェラック監督)ではクロード・ブラッサールと共演。その後も順調にキャリアを積み、2017年には2本の長編で主演を務めた。今後も多くの出演作が控えるフランス映画界の新星。
|コンスタン・コクラン|
1963年、ベルギー、アルデンヌ地方出身。80年代から舞台俳優として活躍し、1996年にダルデンヌ兄弟の『イゴールの約束』で映画デビュー。以降、ダルデンヌ映画の常連となり多数の作品に出演。ほかにも、パトリック・シェロー、セドリック・クラピッシュ、ドミニク・カブレラ、ジャック・オーディアール、ミヒャエル・ハネケなど、多くの名監督らに愛され、ヨーロッパのアート・フィルムに欠かせない俳優となる一方、大衆向けの作品にも多く出演。近年の日本公開作に『ヴィオレット ある作家の肖像』(15、マルタン・プロヴォ監督)、『ルージュの手紙』(17、マルタン・プロヴォ監督)、『ショコラ〜君がいて、僕がいる〜』(15、ロシュディ・ゼム監督)、『マルクス・エンゲルス』(17、ラウル・ペック監督)など。黒沢清が監督した『ダゲレオタイプの女』(16)でも怪演を見せている。
|マリア・レゴー|
1994年にクロード・ミレールの『オディールの夏』で姉のエマニュエル・セニエと共演し、映画デビュー。翌年、『Rosine』(クリスティーヌ・キャリーエル監督)で主役を演じ、ミシェル・シモン賞を受賞。1998年アンヌ・フォンテーヌ監督の『ドライ・クリーニング』でセザール賞最優秀助演女優賞にノミネートされる。翌年、大ヒット作となった『エステサロン/ヴィーナス・ビューティ』(トニー・マーシャル監督)で再びセザール賞最優秀助演女優賞にノミネート。同年『Belle maman』(ガブリエル・アギヨン監督)でカトリーヌ・ドヌーヴ、ヴァンサン・ランドンと共演し、この年のロミー・シュナイダー賞を受賞する。その後も多くの作品で評価を高めるようになる一方、『キャンピング』(ファビアン・オンテニエンテ監督)などの娯楽作にも数多く出演する人気女優。
|レオ・ヴォルニー|
2003年に俳優でコメディアンの父、ミシェル・レーブと共に劇作品『ミセス・ダウト』に出演。その後演劇、映画、歌とダンスをニューヨークで学ぶ。2013年に人気TVドラマ『Sous le soleil de Saint-Tropez』に出演し、次第にTVドラマや映画、舞台に出演するようになる。
|ジャンヌ|
2011年から放映された人気TVドラマ『Soda』でその名を知られ、多くのTVドラマに出演するようになる。2013年、『年下のカレ』(ダヴィッド・モロー監督)で映画初出演を果たし。2019年9月よりNetflixで配信されているTVドラマシリーズ『マリアンヌ−呪われた物語−』では主演を務めている。
|ロズモンド|
2008年、オリヴィエ・アサイヤス監督の『夏時間の庭』で本格的な映画デビュー。近年の出演作に『ショコラ〜君がいて、僕がいる』(16、ロシュディ・ゼム監督)、『ザ・クルー』(16、ジュリアン・ルクレール監督)、『婚約者の友人』(16、フランソワ・オゾン監督)など。
|サラ・ベルナール|
1983年、クロード・ソーテ監督の『Garçon !』で映画デビュー。1986年にジャン=ジャック・ベネックス監督の『ベティ・ブルー』に出演し、セザール賞最優秀助演女優賞にノミネート。その後も順調にキャリアを積み、映画や演劇、歌手活動にも精力的に取り組む。
|ジャン・コクラン|
俳優であり、映画監督、脚本家。2015年のルディ・ローゼンバーグ監督の『転校生』や2019年のユーゴ・ジェラン監督の『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』には脚本で参加。2016年には初の長編監督作品『Five』が公開された。
1982年、フランス・パリ出身。19歳の時にイリーナ・ブルック演出の『ロミオとジュリエット』でロミオ役を演じ、俳優デビュー。演劇界で着実にキャリアを積み、2012年の『Le Porteur d’histoire』と翌年の『Le Cercle des illusionnistes』でモリエール賞のほか、いくつもの賞を受賞する。2016年に初演した舞台版『エドモン』は大成功を収め、5部門でモリエール賞を受賞し、フランスを代表する若手劇作家・演出家として認められる一方、俳優としてもTVドラマから映画まで多くの作品に出演している。映画監督としては、2013年に制作した初の短編映画『エアポート』がオンライン映画祭「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル」にて世界中で配信され、短編部門の観客賞を受賞。その後2本の短編作品を経て、『Edmond』 (原題)で初めて長編作品のメガホンを取る。
1961年生まれ。27歳の時に制作会社レジェンド・プロダクションを設立。初プロデュース作品『1492・コロンブス』(92)がヒットし、以後数々の名作を生み出して日本公開作も多い。代表作は『クリムゾン・リバー』(00、マチュー・カソヴィッツ監督)、『エディット・ピアフ 愛の讃歌』(07、オリヴィエ・ダアン監督)、『バビロンA.D.』(08、マチュー・カソヴィッツ監督)、『黄色い星の子供たち』(10、ローズ・ボッシュ監督)、『プロヴァンスの休日』(14、ローズ・ボッシュ監督)、『ナチス第三の男』(17、セドリック・ヒメネス監督)、『J’accuse』(19、ロマン・ポランスキー監督)。
イタリア出身。監督フローラン・エミリオ・シリとのタッグで知られ、代表作に『最後のマイ・ウェイ』(12)、『いのちの戦場 -アルジェリア1959-』(07)、『ホステージ』(04) 、『スズメバチ』(02)など。シリの作品以外にも『薔薇の名前』(03、ジャン=ジャック・アノー監督)、『トスカーナの休日』(03、オドレイ・ウェルズフローラン・エミリオ・シリ)などを手がけている。
舞台装飾家、芸術監督。代表作に『ヴィクトル・ユゴー 笑う男』(12、ジャン=ピエール・アメリス)、『奇跡のひと マリーとマルグリット』(13、ジャン=ピエール・アメリス監督)、『ファヒム パリが見た奇跡』(19、ピエール=フランソワ・マンタン=ラバル監督)など
1989年より数多くの映画やTVドラマの衣装を手がけるベテラン。代表作に『ジャンヌ・ダルク』(99、リュック・ベッソン監督)、『唇を閉ざせ』(06、ギヨーム・カネ監督)、『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』(18、ニルス・タベルニエ監督)など。『エドモンド』でセザール賞最優秀衣装賞にノミネートされた。
代表作は『99フラン』(07、ヤン・クーネン監督)、『シャネル&ストラヴィンスキー』(10、ヤン・クーネン監督)、『Le Mac』(10 、パスカル・ブルデュー監督)、『プレイヤー監督』(12、ジャン・デュジャルダンほか)、『スリー・オブ・アス』(15、ケイロン監督)などニコラ・ベドス監督の『La Belle époque』(19)ではセザール賞最優秀編集賞にノミネートされた。
2017年の『Monsieur & Madame Adelman』(ニコラ・ベドス監督)でもアニー・ダンシェと共に編集を務めた。
作曲家、サウンド・デザイナー。映画音楽、ゲーム音楽、CM音楽、マジシャンのステージ音楽など多種多様な分野で活躍している。『37°4 S』(13、アドリアーノ・ヴァレリオ監督)では、国立映画センターの“クオリティ”賞と、ボローニャ映画祭の音楽賞を受賞した。アレクシス・ミシャリクの舞台劇『Le Cercle des illusionnistes』の音楽を手がけた後に舞台版『エドモン』でも再びタッグを組んだ。