キノフィルムズ

公開終了
2020年3月20日(金)公開

CURED キュアード

人を噛み殺した記憶は、決して消すことができない—
ゾンビ・パンデミック終焉後、元感染者が社会復帰した世界。

イントロダクション

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人間を狂暴化させる新種の病原体、メイズ・ウイルスのパンデミックによって大混乱に陥ったアイルランド。6年後、治療法が発見されたことで秩序を取り戻し、治療効果が見られない25%の感染者は隔離施設に監禁され、治癒した75%は“回復者”として社会復帰することになった。しかし、人間に戻った回復者=元感染者たちは、ゾンビだった時の記憶は消えず、耐えがたいPTSDに苛まれている。膨らむ不安と恐怖は世界を再びカオスへと引き戻す恐れがあった・・・。
アイルランドの新人監督デヴィッド・フレインが新たに創造した『CURED キュアード』は、ゾンビ・ウイルスのパンデミックが収束した“その後”を描く異色の近未来スリラーである。ウイルスに冒されて無差別に他者を噛み殺すモンスターに豹変したのち、画期的な治療法によって回復した“元”感染者たち。獰猛なゾンビだった頃の悪夢にうなされ、心に傷を負った彼らは、真の人間性を取り戻すことができるのか。元感染者が社会復帰したとき、市民は彼らを受け入れられるのか。これらの幾多の鋭い問いかけを、現在の不穏な世界情勢に照らし合わせて観る者に突きつける衝撃作。

ストーリー

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感染した者を凶暴化させるメイズ・ウイルスという新種の病原体が蔓延した近未来のヨーロッパ。なかでもアイルランドの被害状況は壊滅的だったが、パンデミック発生から数年後、治療法が発見されたことで社会はようやく秩序を取り戻した。感染者のうち治癒した75%は“回復者”と認定され、治療効果が見られない残りの25%は軍が厳重に管理する隔離施設に収容されている。回復者のひとりである若者セナン(サム・キーリー)は社会復帰の日を迎えるが、街では彼らを恐れる市民が激しい抗議デモを行っていた。
セナンの身元引受人は、ジャーナリストである義理の姉アビー(エレン・ペイジ)だった。感染パニックのさなかに夫のルークを殺されたアビーは、深い喪失感に囚われながらもセナンを優しく迎え入れ、幼い息子のキリアンと対面させる。一方、感染者だったときのおぞましい記憶のフラッシュに苦しむセナンは、ルークが死亡した際の残酷な真実をアビーに打ち明けられず、その罪悪感に苛まれていた。
それでもセナンは新たな人生を踏み出すため、医師のライアンズ博士(ポーラ・マルコムソン)の助手として働き始める。収容中の感染者たちを安楽死させようとしている政府の方針に反対するライアンズは、隔離施設にこもって彼らを救うための新たな治療法の研究に没頭していた。
その頃、街では回復者を怪物と見なし、排除をもくろむ強硬派の市民による襲撃事件が続発していた。身の危険を感じた回復者のグループは密かに集会を催し、自分たちを虐げる社会への不満をぶちまけ合う。セナンを受け入れたアビーの自宅も差別的な嫌がらせの落書きをされた。
回復者同盟のリーダーは元弁護士のコナー(トム・ヴォーン=ローラー)だ。隔離施設で行動を共にしたセナンに特別な友情を抱いているコナーは、彼を執拗なまでに同盟に引き入れようとする。コナーへの恩義ゆえに一度は同盟に加わるセナンだったが、アビーやキリアンとの触れ合いにかけがえのない家族の温もりを感じた彼は、危険な過激思想に染まったコナーとの決別を選択する。それはコナーにとって許しがたい裏切り行為だった。
やがて社会への復讐テロを計画した回復者同盟のメンバーは、職員に成りすまして隔離施設に侵入し、兵士たちを次々と殺害していく。檻から解き放たれ、たちまち街にあふれ出した感染者の群れは、猛然と市民に襲いかかった。再び勃発した阿鼻叫喚のパニックのなか、「あの子を捜して!」というアビーの悲痛な叫びを耳にしたセナンは、キリアンが通う学校へと向かう。しかし、その行く手には無数に沸き起こる感染者のみならず、セナンへの憎しみを募らせて狂気に駆られたコナーが立ちはだかるのだった……。

エレン・ペイジ

|製作・アビー|
1987年、カナダ・ハリファックス生まれ。母国のTVムービー「Pit Pony」(97)でプロの女優としてのキャリアを踏み出し、『Marion Bridge』(02)で映画デビュー。「赤ずきん」をモチーフにした異色スリラー『ハード キャンディ』(05)と、『X-MEN:ファイナル・デシジョン』(06)のキティ・ブライド役で脚光を浴びた。思いがけず妊娠してしまった16歳の少女をいきいきと演じた『JUNO/ジュノ』(07)では、アカデミー賞主演女優賞、ゴールデン・グローブ賞女優賞(コメディ/ミュージカル部門)などにノミネートされ、インディペンデント・スピリット賞主演女優賞を受賞している。その後は『ローラーガールズ・ダイアリー』(10)、『ローマでアモーレ』(12)、『ザ・イースト』(13)、『X-MEN:フューチャー&パスト』(14)などの多彩なジャンルで個性を発揮。近年はプロデューサー業にも進出しており、『元感染者』でも製作を兼任している。そのほかの主な出演作は『アメリカン・クライム』(07・未)、『賢く生きる恋のレシピ』(08・未)、『スーパー!』(10)、『サイコ リバース』(10・未)、『スイッチ・オフ』(15)、『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』(15)、『タルーラ ~彼女たちの事情~』(16・未)、NetflixのTVシリーズ「アンブレラ・アカデミー」(19)、同じく「メアリー・アン・シングルトンの物語」(19)など。

サム・キーリー

|セナン|
アイルランド・タラモア生まれ。TVシリーズ「Misfits」「Jack Taylor」に出演した2010年に俳優デビュー。パオロ・ソレンティーノ監督作品『きっと ここが帰る場所』(11)の小さな役を獲得したのち、レニー・アブラハムソン監督作品『リチャードの秘密』(12・未)で重要な役どころを演じた。2012年のTVシリーズ「Raw」でも注目を集めている。その後は製作規模の大きな話題作にも進出し、ブラッドリー・クーパー主演の『二ツ星の料理人』(15)、ロン・ハワード監督、クリス・ヘムズワース主演の『白鯨との闘い』(15)、キリアン・マーフィ主演の『ハイドリヒを撃て! 「ナチの野獣」暗殺作戦』(16)に出演。そのほかの主な出演作に『モンスターズ/新種襲来』(14)、『エッジ・オブ・スピード』(16・未)、『ジャドヴィル包囲戦 -6日間の戦い-』(16・未)などがある。

トム・ヴォーン=ローラー

|コナー|
1977年、アイルランド・ダブリン生まれ。ダブリンのトリニティカレッジで演劇研究の学位を取得したのち、ロンドンの王立演劇学校で学んだ。2008年の舞台「ヘンリー五世」でイアン・チャールソン賞を受賞するなど、演劇界で長いキャリアを築き上げている。最近では『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(18)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)でスーパーヴィラン、サノスの側近であるエボニー・マウを演じ、鮮烈な印象を残した。そのほか日本に紹介された映画出演作には『潜入者』(15)、『ローズの秘密の頁』(16)があり、主演を務めたクライム・スリラー『メイズ 大脱走』(17)で絶賛を博している。

ポーラ・マルコムソン

|ライアンズ博士|
1970年、北アイルランド・ベルファスト生まれ。キャリアの初期に『トゥームストーン』(93)、『グリーンマイル』(99)、『A.I.』(01)といったハリウッド大作に小さな役で出演。その後は2004年スタートの「デッドウッド 銃とSEXとワイルドタウン」にレギュラー出演したほか、数多くのTVシリーズにゲスト出演している。最近では、2013年スタートの「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」のアビー・ドノヴァン役で好評を博した。そのほかの主な出演作には、ジェニファー・ローレンス扮する主人公カットニスの母親を演じた『ハンガー・ゲーム』シリーズ(12・13・14・15)、『グリーンデイズ』(17・未)、TVムービー「デッドウッド ~決戦のワイルドタウン~」(19)などがある。

スタッフ

  • 監督・脚本:デヴィッド・フレイン

    ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンで映画研究の修士号を取得したのち、ティルト・ピクチャーズを共同設立。2008年から数本の短編映画を手がけており、そのうち『Passing』(10)ではコーク国際映画祭で観客賞を受賞した。2012年にビンガー・フィルム・ラボで『CURED キュアード』の脚本を執筆し、エディンバラ国際映画祭ラボでベスト・ストーリー・ピッチに輝く。その後、アイルランド映画委員会の支援を受け、『CURED キュアード』の前日談となる7分の短編『The First Wave』(14)を完成。同作品が複数の国際的な資金提供者の目にとまり、長編デビューを果たした。現在、2本目の長編となる新作『Beards』を準備中。

  • 製作:エレン・ペイジ

配信

2020年9月2日(水)より各種プラットフォームにて配信開始

CURED キュアード

2017年/アイルランド・フランス/原題:THE CURED/英語/カラー/SCOPE/5.1ch/95分/G
配給:キノフィルムズ・木下グループ
©Tilted Pictures Limited 2017
※配信開始日・終了日は各プラットフォームにより異なる場合がございます。Blu-ray・DVDはメーカーウェブサイト、各小売店等にてお買い求めください。