2019年7月2日(火)配信
2019年7月2日(火)発売
『博士と彼女のセオリー』監督×『英国王のスピーチ』コリン・ファース×『ナイロビの蜂』レイチェル・ワイズ
アカデミー賞®に輝くキャスト・スタッフが贈る感動の実話
1968年、イギリス。ひとりぼっちで海に出て一度も港に寄らず、世界一周を果たすという過酷なヨットレースが開催される。華々しい経歴のセーラーたちが参加する中、ビジネスマンのドナルド・クローハーストが名乗りを上げる。アマチュアの果敢な挑戦にスポンサーも現れ、ドナルドは家族の愛を胸に出発する。だが、彼を待っていたのは、厳しい自然と耐え難い孤独、そして予想もしなかった自身の行動だった──。
その頃のイギリスは、ヨットで世界一周を果たした男がナイトの爵位を授与されるなど、冒険ブームに沸いていた。1968年、海辺の小さな町テインマスも、“単独無寄港世界一周ヨットレース開催”の話題で持ちきりだった。スポンサーは「サンデータイムズ」紙、賞金は5000ポンド、その名も“ゴールデン・グローブ・レース”だ。
9 ヶ月も海の上にひとりになる過酷なレースに、いち早く申し込んだ男がいた。ドナルド・クローハースト(コリン・ファース)、船舶用の測定器を開発して会社を立ち上げた起業家だが、事業は行き詰っていた。愛する妻クレア(レイチェル・ワイズ)に賞金を、まだ幼い3人の子供たちに名誉を贈ろうと閃いたのだ。クローハーストは近海にしか出たことのないアマチュアセーラーだったが、そのことがかえって話題になり、自社の宣伝になると目論んでもいた。
町の裕福なビジネスマンのスタンリー・ベスト(ケン・ストット)に投資を持ち掛け、ジャーナリストのロドニー・ホールワース(デヴィッド・シューリス)に広報を頼むクローハースト。その見事な話術と人懐こい笑顔で、たちまち皆を巻き込んでいくのだった。
クローハーストの武勇伝を書くことにしたホールワースは、次々と企業のタイアップ広告を決めて彼を売り出し、ドキュメンタリーを作りたいというBBCから預かったカメラと録音機を渡す。集まった資金で、クローハーストの設計によるヨット作りが始まり、そのうち諦めるだろうと思っていたクレアは戸惑いを隠せない。
だが、最適な部品が集まらず、ヨット作りは遅々として進まない。出発の期限はまだ先だったので、クローハーストはベストに追加の出資を頼み、レースから脱落したら会社を明け渡すという最初の契約に、自宅の没収も加えられるのだった。
ヨットが不完全のまま、とうとう期限が来てしまう。出発前夜、クローハーストはホールワースとベストに棄権の意志を伝えるが、自宅と会社をなくすだけでなく、応援してくれている地元の人々を裏切ることになると説得される。
10月31日、夢に胸を躍らせた町の人々に賑やかに見送られるクローハースト。海に出てまもなく、エンジンルームが浸水し、電気系統が壊れるなど、想像以上の試練が降りかかり、ヨットは一向に進まない。心身ともに追い詰められたクローハーストは、つい嘘の現在地点を報告してしまう。報せを聞いたホールワースがその速さに歓喜し、「新記録」というニュースを国中に流し、クローハーストは一躍ヒーローとなってしまう。その瞬間から、彼の海と心の旅が始まった──。
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