2020年11月18日(水)配信
激動のウィーンを舞台に、若き青年とフロイト教授の友情を描く
儚くも美しいかけがえのない日々
ヒトラー率いるナチ・ドイツがドイツ国内の権力を掌握した1930年代。隣国のオーストリアにもその勢力は拡大し、1938年3月13日、当時の首相シュシュニックの抵抗も空しく、オーストリアはドイツに併合される。ロバート・ワイズ監督の『サウンド・オブ・ミュージック』でトラップ一家が国境を越えたその時代を、本作の主人公たちは生きている。『17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン』は、そんな激動のオーストリア・ウィーンに降り立った17歳の青年と、精神科医ジークムント・フロイト教授との出会いと友情、そして若き青年にとっての初めての恋と成長を幻想的な映像美と共に描いた物語だ。
原作はウィーン生まれの作家ローベルト・ゼーターラーの「キオスク」。2012年の発行以来ドイツで50万部を超える売り上げを記録したベストセラーに惚れ込んだプロデューサーが、ゼーターラーを口説き映画化にこぎ着けた。
青年を導く人生の師を演じる 名優ブルーノ・ガンツの遺作
青年フランツの人生に大きな影響を与える人物として登場するのは、心理学の三大巨匠ともいわれるジークムント・フロイト。本作に唯一登場する実在の人物で、ファンタジーになりかねない本作を現実につなぎ止め、この物語にリアリティ溢れる情緒をもたらしている。そしてフロイト役に白羽の矢が立ったのが名優、ブルーノ・ガンツだった。『ベルリン・天使の詩』『ヒトラー~最期の12日間~』などで主演を務め、その名を世界に知らしめたガンツは、2019年2月惜しくも故人となったが、遺作となった本作では、ナチスによる抑圧や、老いからくる病に耐えながらも、うぶな青年の人生に華やかな彩りを添え、初めての恋に戸惑う友人に3つの処方を伝える人生の師を見事に演じている。
1937年、ナチ・ドイツとの併合に揺れるオーストリア。自然豊かなアッタ―湖のほとりに母親と暮らす17歳の青年フランツは、タバコ店の見習いとして働くためウィーンへやってきた。常連のひとりで“頭の医者”として知られるフロイト教授と懇意になったフランツは、教授から人生を楽しみ恋をするよう勧めを受ける。やがてボヘミア出身の女性に一目惚れをし、はじめての恋に戸惑うフランツは、フロイトに助言を仰ぐ。しかし時代は国全体を巻き込んで、激動の時を迎えようとしていた。
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