キノフィルムズ

公開終了
2019年3月1日(金)公開

天国でまた会おう

戦場で死にかけた歳の離れた二人が
何もかも奪った国を相手にひと儲けしようと企てた大胆な詐欺
その裏に秘められた感動の物語とは──!?

イントロダクション

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1918年、休戦目前の西部戦線。生き埋めにされたアルベールを救ったエドゥアールは、その時に顔に重傷を負ってしまう。パリに戻った二人を待っていたのは、戦没者は称えるのに帰還兵には冷たい世間だった。仕事も恋人も失ったアルベールと、生還を家族にひた隠しにするエドゥアール。そこに、声を失ったエドゥアールの想いを“通訳”する少女が加わった。一度は負けた人生を巻き返すために、彼らは国を相手にひと儲けする大胆な詐欺を企てる。だが、そこには隠された本当の目的があった──。
原作は、世界的ベストセラー作家ピエール・ルメートルのゴンクール賞に輝いた同名小説。アートのような本物志向の美術と衣裳、100%先の読めない展開が観る者の魂を揺さぶり、2018年のセザール賞を席巻した話題の逸品。

ストーリー

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二人の“始まり”は、1918年11月、第一次世界大戦終結の頃だった。百十三高地でドイツ軍と戦っていた、フランス軍の中年兵アルベール・マイヤール(アルベール・デュポンテル)は、上官のプラデル中尉(ロラン・ラフィット)が“大好きな”戦争を続けるために働いた悪事に気付いたことから、塹壕に落とされて生き埋めになる。そんなアルベールを、若き兵士エドゥアール・ペリクール(ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート)が救い出してくれるが、次の瞬間、彼は爆撃に吹き飛ばされ、顔の半分を失う重傷を負ってしまう。
パリの病院へ移されるエドゥアールから、家に帰りたくないと訴えられたアルベールは、エドゥアールの戦死を偽装し、彼の家族に手紙を送る。エドゥアールは画家になることを夢見ていたが、大企業の総裁の父マルセル(ニエル・アレストリュプ)は認めなかった。最愛の母は幼い頃に亡くなり、姉のマドレーヌ(エミリー・ドゥケンヌ)だけが味方だったが、絶望したエドゥアールは姉に会う気力さえなかった。
1919年11月、世間は戦没者を称えるが帰還兵には冷たかった。銀行に復職できず、婚約者にも逃げられたアルベールは、粗末な部屋を借りてエドゥアールの面倒を見ていた。画材を揃えても見向きもせず、身体と心の痛みを和らげるモルヒネばかり欲しがるエドゥアールを養うためにも、アルベールはエレベーター係として百貨店で働き始める。
そんなエドゥアールの心を、給付金目当てのベルモン夫人に育てられた孤児のルイーズ(エロイーズ・バルステール)が癒す。マスクを外したエドゥアールの傷あとを見ても驚かず、そっと優しく撫でる少女を、エドゥアールはしっかりと抱きしめて感謝を伝えるのだった。再び生きる気力を取り戻したエドゥアールは、口元の傷をかくすための“仮面”を猛然と作り始める。
その夜、アルベールが帰宅すると、美術品のように美しい仮面が完成していた。言葉を紡げなくなったエドゥアールの心の声を、なぜかすべて理解するルイーズは、彼が立てたある詐欺計画をアルベールに“通訳”する。小心者のアルベールは、最初は「ムショ行きは嫌だ」と拒んでいたが、自分にはもう失うものなどないと気付く。それは、戦没者の記念碑のカタログを作って宣伝し、制作費をいただいてあとは逃げるという計画だった。国や町など権力を相手にひと儲けしようというたくらみだ。
画才を活かし、遂にカタログを完成させたエドゥアールは、さっそくあちこちに送りつける。まもなく注文が殺到し、莫大な制作費が入金され、アルベールとエドゥアールは、“逃亡”する日を7月14日の革命記念日に決める。だが、運命のいたずらか、記念碑の発注者の中にマルセルがいた。まさか息子が生きて描いているなどと夢にも思わないマルセルが、エドゥアールの絵を見て“ある事実”に気付き、今や友情で結ばれた二人とルイーズの未来は思わぬ方向へと動き始める──。

ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート

|エドゥアール|
1986年、アルゼンチン生まれ。2003年にアルゼンチンのTVミニシリーズで俳優デビュー。
本国のTVシリーズや映画に多数出演して注目され、フランスやドイツなどヨーロッパの作品にも出演するようになる。
2017年、パリを舞台にエイズ患者への差別に立ち向かう若者たちを描き、カンヌ国際映画祭でグランプリに輝いた作品 『BPM ビート・バー・ミニット』で、HIV陽性という過酷な現実と闘いながら抗議活動の先頭に立つ主人公のショーン 役を演じ、自身もセザール賞有望若手男優賞を受賞し、ヨーロッパ映画賞にノミネートされ、世界にその名を知られる。

アルベール・デュポンテル

|アルベール・マイヤール|(脚本・監督・出演)
1964年、フランス生まれ。
俳優としてキャリアをスタートし、セザール賞にノミネートされた『つつましき詐欺師』(96・未)、ギャスパー・ノエ監督の『アレックス』(02)、ジャン=ピエール・ジュネ監督の『ロング・エンゲージメント』(04)、『モンテーニュ通りのカフェ』(06)、『地上5センチの恋心』(06)、ギャスパー・ウリエル共演の『ジャック・ソード 選ばれし勇者』(07・未)、セドリック・クラピッシュ監督の『PARIS(パリ)』(08)、『プレイ-獲物-』(11)などに出演する。
1996年、脚本、主演も務めた『ベルニー』で長編映画監督デビューを果たし、セザール賞新人監督作品賞にノミネートされる。
その後も、『9 mois ferme(原題)』(13)で同賞作品賞、監督賞、主演男優賞にノミネートされ、脚本賞を受賞し、リュミエール賞監督賞、脚本賞にもノミネートされ、一流のフィルムメーカーとして高く評価される。
長編映画監督第6作目となる本作でも、セザール賞作品賞、主演男優賞にノミネートされ、監督賞と脚色賞に輝き、リュミエール賞作品賞、脚色賞にノミネートされる。

ロラン・ラフィット

|プラデル|
1973年、フランス生まれ。
自国では、コメディアンとして絶大なる人気を誇る。
2016年のカンヌ国際映画祭では、セレモニーの司会を務め、大いに会場を沸かせた。
俳優としてはシリアスな演技にも定評があり、メラニー・ロラン共演のミステリードラマ『ミモザの島に消えた母』(15)では主演を務める。
共演のイザベル・ユペールが絶賛されて数々の賞に輝いた、ポール・ヴァーホーヴェン監督のヒット作『エル ELLE』(16)では、セザール賞助演男優賞にノミネートされる。
続く本作でも、同賞にノミネートされる。

ニエル・アレストリュプ

|マルセル|
1948年、フランス生まれ。
舞台からキャリアをスタートし、1970年代より映画でも活躍、『ミュウ・ミュウの女刑事』(80・未)で最初に注目される。
『真夜中のピアニスト』(05)と『預言者』(09)でセザール賞助演男優賞を受賞し、『ビッグ・ピクチャー 顔のない逃亡者』(10・未)で同賞助演男優賞にノミネートされ、フォルカー・シュレンドルフ監督の『パリよ、永遠に』(14)では同賞主演男優賞にノミネートされる。
さらに、本作で再び同賞助演男優賞にノミネートされ、フランスを代表する名優の称号を確固たるものとする。
スティーヴン・スピルバーグ監督の『戦火の馬』(11)など、ハリウッドにも進出している。

エミリー・ドゥケンヌ

|マドレーヌ|
1981年、ベルギー生まれ。
1999年、ベルギーの名匠ダルデンヌ兄弟のカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品『ロゼッタ』で、鮮烈な映画デビューを飾る。
貧しく仕事もない逆境の中で必死に生きていく主人公の少女ロゼッタを演じて大絶賛され、自身も同映画祭主演女優賞を受賞し、セザール賞にノミネートされる。続いて、サンドリーヌ・ボネール共演の『灯台守の恋』(04)では、セザール賞助演女優賞にノミネートされる。

メラニー・ティエリー

|ポリーヌ|
1981年、フランス生まれ。
13歳の頃からモデルとして活躍し、エルメスの広告に出演し、イヴ・サンローランの香水「Opium」のイメージモデルを務める。
女優としてはTVシリーズからスタートし、ジュゼッペ・トルナトーレ監督、ティム・ロス共演の『海の上のピアニスト』(98)で注目される。
その後、リリー=ローズ・デップの出演で話題となった『ザ・ダンサー』(16)でセザール賞助演女優賞にノミネートされる。
さらに、本作でも同賞に再びノミネートされる。

スタッフ

  • 監督:アルベール・デュポンテル

  • 原作:ピエール・ルメートル

    1951年、フランス生まれ。
    2006年、カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ第1作「悲しみのイレーヌ」で作家デビューし、コニャック・ミステリ大賞他、4つの賞を受賞する。
    シリーズ第2作「その女アレックス」は、栄誉あるイギリス推理作家協会インターナショナル・ダガー賞を受賞し、日本でも「このミステリーがすごい!」など4つの有名ミステリーランキングで1位となるなど大変な話題となり、世界各国でベストセラーを記録する。
    続くシリーズ最終作「傷だらけのカミーユ」でもインターナショナル・ダガー賞を受賞する。 2013年、本作の原作となる「天国でまた会おう」で、フランス最高峰の文学賞ゴンクール賞に輝くと共に、3度目となるインターナショナル・ダガー賞も獲得、ジャンルを超えてその才能を絶賛される。
    さらに、本作の脚本もデュポンテルと共同で手掛け、セザール賞脚色賞を受賞する。 その他の作品は、「死のドレスを花婿に」、「監禁面接」など。「天国でまた会おう」の続きとなる、エドゥアールの姉マドレーヌが主人公の「炎の色」も出版された。

  • 脚本:アルベール・デュポンテル、ピエール・ルメートル

配信

2019年8月2日(金)より各種プラットフォームにて配信開始

天国でまた会おう

2017年/フランス/原題:Au Revoir Là-Haut/英題:SEE YOU UP THERE/シネマスコープ/5.1ch/117分/PG12
配給:キノフィルムズ・木下グループ
© 2017 STADENN PROD. – MANCHESTER FILMS – GAUMONT – France 2 CINEMA ©Jérôme Prébois / ADCB Films
※配信開始日・終了日は各プラットフォームにより異なる場合がございます。Blu-ray・DVDはメーカーウェブサイト、各小売店等にてお買い求めください。