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2017年11月1日(水)より各種プラットフォームにて配信開始
『危険なプロット』は、審美眼を持つ高校教師と文才に恵まれた生徒との緊張感漂うやりとりから生まれる、サスペンスを孕んだ緻密な人間ドラマだ。
本国フランスでは、動員120万人を超える大ヒットを記録。第37回トロント国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞、第60回サンセバスチャン国際映画祭では最優秀作品賞と最優秀脚本賞をW受賞し、国際的評価が益々高まるオゾン監督の最高傑作との呼び声も高い。
監督に見出され、ミステリアスで不穏な眼差しを持つクロード役の新星エルンスト・ウンハウワーは本作で、見事リュミエール賞新人男優賞を受賞した。クロードを導く教師ジェルマン役はフランスを代表する名優ファブリス・ルキーニ、また夫とことごとく対立するジェルマンの妻には、アカデミー賞ノミネートのクリスティン・スコット・トーマス、クロードと妖しい関係になるクラスメートの母にエマニュエル・セニエら、秀逸な脚本を120%活かしきるキャストが集められた。
鋭匠フランソワ・オゾンが仕掛ける妖しくスリリングな駆け引きは、緊張を高めながら、やがて常識と想像をはるかに超えた結末へと登場人物を、そして私たちを導いていく。
作家になる夢を諦めた高校の国語教師・ジェルマンは、凡庸な作文添削にうんざりしながら毎日を送っていた。新学期を迎えたばかりのある日、生徒クロードが書いた作文に心をつかまれる。クラスメイトとその家族を皮肉たっぷりのトーンで描写したものだったが、ジェルマンは人間観察の才能を感じ取り、クロードに小説の書き方を個人指導していく。ジェルマンの手ほどきにより才能を開花させたクロードは、クラスメイトの家の中を覗き見、美しい母親を観察して次々と‘新作’を提出してくる。次第にクロードの紡ぎ出す物語に絡め取られたジェルマンは、‘続き’を求めて歯車を狂わせてゆく。クロードの文章は益々エスカレートを始め――。
[ジェルマン]
かつて作家を志していた高校教師で、文才に恵まれた教え子クロードとの出会いによって思わぬ人生を歩むことになる。若き才能に翻弄されながらも、高校生と年齢も立場も超えた絆で結ばれていく中年男を人間味あふれる表情で演じている。
1951年フランス、パリ生まれ。イタリア移民の一家に生まれる。美容室に勤める一方、
文学や音楽に親しんでいたが、フィリップ・ラブロ監督と出会い、1969年に同監督の『Tout peut arriver』 で映画デビュー。続いてエリック・ロメール監督の『クレールの膝』(70)に出演。以後、同監督の常連俳優として、『聖杯伝説』(78)、『飛行士の妻』(80)、『満月の夜』(84)などに出演している。1991年には、クリスチャン・ヴァンサン監督の『恋愛小説ができるまで』(90)でセザール賞主演男優賞にノミネート。そして1994年には、クロード・ルルーシュ監督の『Tout ça… pour ça !』で、同賞の助演男優賞に輝いた。その他の主な出演作品には『百貨店大百科』(92)、『親密すぎるうちあけ話』(04)、『PARIS(パリ)』(08)、『屋根裏部屋のマリアたち』(10)などがある。オゾン作品では『しあわせの雨傘 』(10)に続く2度目の出演となり、本作でセザール賞主演男優賞にもノミネートされた。
[ジャンヌ]
現代アートを扱うギャラリー“ミノタウロスの迷宮”を任されているジェルマンの妻。夫の教え子であるクロードの作文を批判しながらも、やがて虜になっていく様をコミカルに演じている。
1960年イギリス、コーンウォール生まれ。19歳で、演技を学ぶためパリに移住。1986年、プリンスが監督を務めた『プリンス/アンダー・ザ・チェリー・ムーン』で映画デビュー。大ヒット作『フォー・ウェディング』(94)の演技で絶賛され、英国アカデミー賞助演女優賞を受賞。1996年にはアンソニー・ミンゲラ監督の『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー主演女優賞他、主要な映画賞にノミネートされ、演技への評価を確実なものとする。その後、『ずっとあなたを愛してる』(08)に主演し、ヨーロッパ映画賞最優秀女優賞他、数々の賞を受賞。2003年には大英帝国勲章を、2005年にレジオン・ドヌール勲章を受けている。最近の主な出演作は、『ブーリン家の姉妹』(08)、『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ 』(09)、『サラの鍵』(10)、『砂漠でサーモン・フィッシング』(11)、『ベラミ 愛を弄ぶ男』(12)。待機中の作品に、レイフ・ファインズがメガホンをとる『The Invisible Woman』(13)、ニコラス・ウィンディング・レフン監督作、ライアン・ゴズリングと共演する『Only God Forgives』(13)などがある。堪能なフランス語を活かして、フランス作品にも多く出演している。
[エステル]
クロードが家に入り浸る友人ラファの母親。優しく安心感のある家庭的かつセク
シーな女性を演じ、これまでとは違った一面を披露している。
1966年フランス、パリ生まれ。祖父は俳優のルイス・セニエ、父は写真家で母はジャーナリスト。14歳からモデルとして活躍。ヨーロッパの有名誌の表紙を飾り、シャネルのCMにも抜擢された。1985年にジャン=リュック・ゴダール監督の『ゴダールの探偵』で映画デビュー。その後ロマン・ポランスキー監督の『フランティック』(88)でハリソン・フォードを惑わす謎の美女を好演。翌年、ポランスキーと結婚。以降『赤い航路』(92)や『ナインスゲート』(99)とポランスキー監督作に出演し、妖艶な魅力を印象づけた。主な出演作に、イヴァン・アタル監督『フレンチなしあわせのみつけ方』(04)、オリヴィエ・ダアン監督『エディット・ピアフ~愛の賛歌~』(07)、ジュリアン・シュナーベル監督『潜水服は蝶の夢を見る』(07)、イエジー・スコリモフスキ監督『エッセンシャル・キリング』(10)などがある。
[クロード]
学校では“内気なブロンド”と称されながらも、作文の中では、豊かな表現力を
駆使し、大人たちを魅了していく。内気な一面と大胆な一面を併せ持つ複雑な少年を好演し、注目を集めた。
1989年フランス、シェルブール生まれ。2011年、短編映画“Le Cri”で初めての役を得る。続いてドミニク・モル監督の『マンク~破戒僧~』(11)でヴァンサン・カッセルと共演。本作でフランソワ・オゾン監督にクロード役に抜擢され、リュミエール賞の新人男優賞を受賞し、セザール賞にもノミネートされる。今後の活躍が期待される若手俳優の一人である。
1967年フランス、パリ生まれ。90年、国立の映画学校フェミスの監督コースに入学。次々に短編作品を発表し、『サマードレス』(96)でロカルノ国際映画祭短編セクション・グランプリを受賞。1997年の中編『海をみる』を経て、翌年に発表した長編第一作目『ホームドラマ』がカンヌ国際映画祭批評家週間で大きな話題となる。1999年には『クリミナル・ラヴァーズ』がベネチア国際映画祭に正式出品され、続く『焼け石に水』(00)で、ベルリン国際映画祭のテディ2000賞を受賞。2001年、『まぼろし』がセザール賞の作品賞と監督賞にノミネートされ国際的にも高い注目を集め、翌年には『8人の女たち』で、ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。その後『スイミング・プール』(03)、『エンジェル』(07)、『しあわせの雨傘』(10)など多種多様な作品を発表し続けている。