主人公ルーカスを演じるのは、“北欧の至宝”と謳われる名優マッツ・ミケルセン。『007 カジノ・ロワイヤル』で悪役ル・シッフルを演じ国際スターの仲間入りを果たした実力派が、本作では、無実の主張を貫き、精一杯誇り高くあろうとするルーカスの魂の叫びを渾身の力をこめて熱演。見事にカンヌ国際映画祭の主演男優賞に輝いた。監督は、北欧の映画界を牽引するトマス・ヴィンターベア。カンヌ国際映画祭で特別審査員賞を受賞した『セレブレーション』から、デンマーク・アカデミー賞5部門を獲得した『光のほうへ』まで、常に問題意識の高い秀作を発表し続ける名匠の最高傑作が、私たちの心を大きく揺さぶる。
離婚と失業の試練を乗り越え、ようやく穏やかな日常を取り戻した幼稚園教師・ルーカス。
そんな彼がある日、親友テオの娘クララの作り話が元で変質者の烙印を押されてしまう。あるのはクララの証言のみ。無実を証明できる手立ては何もない。町の住人たちはおろか、唯一無二の親友だと信じて疑わなかったテオまでもが、幼いクララの言葉を疑いなく信じ込み、身の潔白を説明しようとするルーカスの声に耳を貸そうとしない。
噂はあっという間に町中に広がり、仕事も親友も、信用も全てを失ったルーカスは小さい町で孤立してしまう。ルーカスに向けられる憎悪と敵意がますますエスカレートし、一人息子のマルクスにまで危害が及ぶ事態に心を痛めながらも、ひたすら耐え続ける生活を余儀なくされるルーカス。
―クリスマス・イブがやってきた。追い詰められたルーカスはある決意を胸に、テオや町の住人たちが集う教会へと向かった―
ルーカス役
1965年生まれ。オーフス・シアターの演劇学校に入ったのち、ニコラス・ウィンディング・レフン監督の『プッシャー』（96）で映画デビューを飾る。その後、スザンネ・ビア監督の『しあわせな孤独』（02）や『アフター・ウェディング』（06）など、数々のデンマーク映画のヒット作に出演。04年、トリスタン役を演じた『キング・アーサー』でハリウッドに進出。『007／カジノ・ロワイヤル』（06）では悪役ル・シッフル役に抜擢され、国際的知名度を上げた。以来、『シャネル＆ストラヴィンスキー』（09）、『ヴァルハラ・ライジング』（09）、『タイタンの戦い』（10）、『三銃士／王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』（11）など、多数の海外作品で重要な役を演じる。11年、海外作品での貢献が認められ、ヨーロッパ映画賞のワールドシネマ功労賞を授与された。待機作として、ベルリン映画祭で銀熊賞をダブル受賞したニコライ・アーセル監督の『A ROYAL AFFAIR』（12）や『The Necessary Death of Charlie Countryman』（13)などがある。
テオ役
1963年生まれ。1991年、デンマーク国立演劇学校および現代舞踊のクラスで訓練を受けた後、トマス・ヴィンターベア監督の学生アカデミー賞ノミネート短編映画『LAST ROUND』（93/未）の主人公役で高い評価を得た後、『プッシャー』（96）、『セレブレーション』（98）などに出演。『THE BIGGEST HEROES』（96/未）でデンマーク・アカデミー賞最優秀男優賞、『セレブレーション』で同賞最優秀助演男優賞を受賞。デンマークのロイヤル・シアターや多くのステージで上演される数多くの舞台劇にも出演している。
クララ役
オーディションでクララ役に抜擢された6歳。監督は「彼女はとてもプロフェッショナルで、誰もが彼女の演技に感銘を受けた」と絶賛している。
マルクス役
1996年生まれ。本作が映画初出演作となるが、繊細な演技が高く評価され、今後の活躍が期待される16歳。
グレテ役
1938年生まれ。1960年、コペンハーゲンの演劇学校を卒業。その後すぐに、デンマーク王立劇場の主演女優のひとりとなるが、コペンハーゲンにあるその他の劇場でもユニークな才能を披露してきた。ドラマからミュージカル、コメディまで幅広い作品で様々な役柄を演じてきたほか、ＴＶ作品や映画、ラジオ劇にも多数出演している。また、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話をデンマーク語と英語の両方で朗読し世界的に広めた功績によって、“ハンス・クリスチャン・アンデルセン・メダル”および“ハンス・クリスチャン・アンデルセン賞”、そして04年には“ハンス・クリスチャン・アンデルセン大使”の称号を授与された。85年以来、デンマーク・エイズ財団の総裁を務めている。
ブルーン役
1969年生まれ。デンマーク国立演劇学校および現代舞踊のクラスで役者として訓練を積み、多数の映画や舞台に出演。99年、リアルト劇場で上演された[Mother and Child]で演じた息子役で知名度を上げる。以降、デンマーク王立劇場を含むあらゆる舞台で、同役を長期に渡って演じ続けた。
08年、TVドラマシリーズ「SOMMER」で演じた役柄が評価され、TV Awardの主演男優賞にノミネートされる。その他の出演作にスザンネ・ビア監督の『ある愛の風景』（04）や、デンマーク映画批評家協会賞で最優秀助演男優賞とデンマーク・アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞した『DIRCH（英題：FUNNY Man）』（11/未）などがある。
1969年生まれ。93年、デンマーク映画学校を卒業。卒業制作『LAST ROUND』（未）は学生アカデミー賞にノミネートされ、早くからその実力を発揮する。そのすぐ後に手がけた『THE BODY WHO WALKED BACKWARDS』（未）はクレルモンフェラン国際短編映画祭、デンマーク・アカデミー賞などで数多くの賞を受賞。96年、『THE BIGGEST HEROES』（未）で長編映画デビューを果たし、デンマーク・アカデミー賞で3部門を受賞する。監督第2作となる『セレブレーション』（98）では、カンヌ国際映画祭の特別審査員賞をはじめ、国際的な賞を多数受賞し、世界中から注目を集める。その後、ホアキン・フェニックス、クレア・デインズ、ショーン・ペンを迎えた『アンビリーバブル』（03/未）、ラース・フォン・トリアーが脚本を担当した『DEAR WENDY ディア・ウェンディ』（05）と2本の英語の映画を発表するが、07年の『WHEN MAN COMES HOME』以降はデンマーク語の映画に戻る。『光のほうへ』（10）はベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品されたほか、デンマーク・アカデミー賞で5部門を受賞するなど、高い評価を得た。映画の他に舞台監督や、世界的人気バンドの“メタリカ”や“ブラー”のミュージックビデオも手掛けている
1977年生まれ。デンマーク国立映画学校を卒業後、TVドラマシリーズ「SOMMER」（07）で脚本家としてのキャリアをスタート。トマス・ヴィンターベア監督との共同脚本は、長編映画脚本デビュー作となった『光のほうへ』（10）に続いて2作目である。映画監督としても作品を発表しており、マイケル・ノエルと共同で脚本・監督を務めたデビュー作『R』（10/未）は各国の映画祭で数々の賞を受賞した。監督第2作目の『A HIJACKING』（12）は東京国際映画祭コンペティション部門に出品された。
2012年／デンマーク／原題：JAGTEN／英題：THE HUNT／R15／115分／シネスコ／5.1ch
後援：デンマーク大使館、スカンジナビア政府観光局
配給：キノフィルムズ
©2012 Zentropa Entertainments 19 ApS and Zentropa International Sweden.
