キノフィルムズ

公開終了
2019年8月23日(金)公開

ドッグマン

男は落ちてしまった。
幸せな日常にあいた、不条理という名の穴に

イントロダクション

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イタリアのさびれた海辺の町。娘と犬をこよなく愛する温厚で小心者のマルチェロは、質素ながらも「ドッグマン」という犬のトリミングサロンを経営し、気のおけない仲間との食事やサッカーを楽しむ日々を送っている。だが一方で、その穏やかな生活をおびやかす暴力的な友人シモーネとの従属的な関係から抜け出せずにいた。ある日、シモーネから持ち掛けられた儲け話を断りきれなかったマルチェロは、その代償として仲間たちの信用とサロンの顧客を失ってしまう。娘とも自由に会えなくなったマルチェロは、元の幸せだった自分の日常を取り戻すためにある行動に出るが――。
平穏な日常にあいた穴に落ちたマルチェロがとった、あまりにも奇妙だが不思議と胸を打つ行動とは? 結末を心して見届けてほしい。この穴は、ある日突然、あなたの前にも現れるかもしれないから──。
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で、作品賞・監督賞を始めとする最多9部門を制した、人生の不条理を容赦なく描く衝撃の問題作。

ストーリー

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イタリアのさびれた海辺の町で、〈ドッグマン〉という犬のトリミングサロンを営むマルチェロ(マルチェロ・フォンテ)。店は質素だが、犬をこよなく愛す彼には楽園だ。妻とは別れて独り身だが、彼女との関係は良好で、最愛の娘ともいつでも会える。地元の仲間たちと共に食事やサッカーを楽しむ温厚なマルチェロは、ささやかだが幸せな日々を送っていた。
だが、一つだけ気掛かりがあった。シモーネ(エドアルド・ペッシェ)という暴力的な友人の存在だ。シモーネが空き巣に入る時に無理やり車の運転手をさせられ、わずかな報酬しかもらえなかったり、コカインを買わされ金を払ってくれなかったりと、小心者のマルチェロは彼から利用され支配される関係から抜け出せずにいた。自分の思い通りにいかないとすぐに暴れるシモーネの行動は、仲間内でも問題になり、金を払ってよその人間に殺してもらおうという話さえ出ていた。
ある日、シモーネから持ちかけられた儲け話を断りきれず片棒をかついでしまったマルチェロは、その代償として仲間たちの信用とサロンの顧客を失い、娘とも会えなくなってしまう。満ち足りた暮らしを失ったマルチェロは考えた末に、ある驚くべき計画を立てる――

マルチェロ・フォンテ

|マルチェロ|
俳優、ミュージシャン、パフォーマー、彫刻家。1978年、イタリア、カラブリア州、メリト・ディ・ポルト・サルヴォ生まれ。10歳の時、地元の楽団で小太鼓を演奏し始める。1999年、舞台美術家の兄が住むローマに引越し、200年の歴史を持つヴァッレ劇場で守衛の仕事を始める。兄の影響で演じるということに魅了され、エキストラとしてマーティン・スコセッシ監督の『ギャング・オブ・ニューヨーク』(02)に出演する。端役ではあるが、その他の出演作は、『悪霊喰』(03)、『天空のからだ』(11・未)、『侵入する女』(17・未)など。『Asino vola』(15)で監督業にも進出し、出演もする。
2015年からは、元囚人の社会復帰団体で、元囚人の俳優も多数在籍する“Fort Apache Cinema Teatro(アパッチ砦映画演劇)”劇団在籍役者となり、生涯学習ラボラトリーに参加するが、ちょうどその巡業中に注目され、ダニエレ・ルケッティ監督の『Io sono Tempesta』(18)に出演する。
本作で、カンヌ映画祭主演男優賞を受賞。
新作は、再びマッテオ・ガローネ監督とタッグを組む『Pinocchio』(19)。

エドアルド・ペッシェ

|シモーネ|
1979年、イタリア、ローマ生まれ。エンツォ・ガリネイ率いる俳優学校「Ribalte」に通い、続いてイザベッラ・デル・ビアンコとクリスティアーノ・チェンシ率いる「Teatro Azione(アクション劇団)」で学ぶ。
彼の名が広く知られたのは、ステファノ・ソッリマ演出のTVシリーズ「Romanzo criminale - La serie」(08~10)で2シーズンに渡って演じた、70年代に実在したローマ郊外のギャング団「Banda della Magliana(マリアーナ団)」の構成員ルッジェーロ・ブッフォーニ役。
2012年には、ラオル・ボーヴァ主演のTV映画「Ultimo 4 - L'occhio del falco」で準主役を演じ、ヴェネツィア映画祭コンペティション部門に出品したエンリコ・マリア・アルターレ監督の長編第一作『Il terzo tempo』に出演。2015年には、エドアルド・ファルコーネ監督の長編第1作『神様の思し召し』で、マルコ・ジャッリーニとアレッサンドロ・ガズマンの脇で準主役を演じる。この演技で、マーニャ・グレーチャ映画祭最優秀男優賞を受賞する。同年カンヌ映画祭国際批評家週間受賞作、フルヴィオ・リズレオ監督の短編『Varicella』で主演。2017年にはカンヌ国際映画祭に出品されたセルジョ・カステッリット監督の『フォルトゥナータ』(未)とロベルト・デ・パオリス監督の『純粋な心』(未)での演技により、ナストロ・ダルジェント最優秀助演男優賞にノミネートされる。
本作でナストロ・ダルジェント最優秀主演男優賞、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞助演男優賞を獲得する。

スタッフ

  • 監督:マッテオ・ガローネ

    1968年、イタリア、ローマ生まれ。カメラマン助手として働いた後、1996年に短編映画『Silhouette』で賞を獲得する。その翌年には、長編映画監督デビュー作『Terra di Mezzo (Land in Between)』を自身の制作会社で製作する。この作品はトリノ映画祭で審査員特別賞 とCipputi賞を受賞する。
    1998年には、ドキュメンタリー映画『Oreste Pipolo, a Wedding Photographer』をナポリで撮影した他、長編映画2作目『Ospiti(Guests)』がヴェネチア映画祭で上映される。後者はアンジェ映画祭のスペシャルメンション賞、ヴァレンシア映画祭の最優秀作品賞、そしてメッシーナ映画祭のコダック賞を獲得する。
    長編映画監督3作目の『Estate Romana (Roman Summer, 2000)』もヴェネチア映画祭で上映される。2002年には『剥製師』 が第55回カンヌ国際映画祭の監督週間で上映される。この作品は、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の脚本賞と助演女優賞を受賞。また、(イタリア映画記者組合)シルバーリボン賞編集賞、ゴールデンCIAK賞編集賞、フェリーニ賞のプロデューサー賞、プロダクションデザイン賞、撮影賞、配給賞にも輝く。さらにパソリーニ賞では審査員特別賞を獲得する。
    2004年には『Primo Amore (First Love)』が、第54回ベルリン映画祭銀熊賞(音楽賞)を受賞。この作品はさらに、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の作曲賞も受賞する。2008年にはカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に初めて出品した『ゴモラ』が審査員特別グランプリに輝く。さらにこの作品は、ヨーロッパ映画賞5部門(作品、監督、男優、脚本、撮影)、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞7部門、シルバーリボン賞2部門、シカゴ映画祭の脚本賞に輝いた他、ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞、セザール賞の外国語映画賞にノミネートされる。
    2012年と2015年には、それぞれ『リアリティー』 (2度目の審査員特別グランプリ受賞とダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞3部門受賞、ナストロ・ダルジェント賞3部門受賞)と『五日物語 -3つの王国と3人の女-』 (ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞7部門受賞)がカンヌ国際映画祭コンペティション部門で上映される。
    新作は、再びマルチェロ・フォンテとタッグを組む『Pinocchio』(19)。

  • 原案・脚本:ウーゴ・キーティ、マッシモ・ガウディオソ、マッテオ・ガローネ

  • 撮影:ニコライ・ブルエル

  • 編集:マルコ・スポレンティーニ

  • 美術:ディミトリー・カプアーニ

  • 衣装:マッシモ・カンティーニ・パリーニ

  • 音楽:ミケーレ・ブラガ

配信

2020年2月5日(水)より各種プラットフォームにて配信開始

ドッグマン

2018年/イタリア・フランス/原題:DOGMAN/イタリア語/カラー/シネマスコープ/5.1ch/103分/PG12 
配給:キノフィルムズ・木下グループ
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