全米を震撼させ、社会現象を巻き起こした衝撃の実話。
1993年アーカンソー州ウエスト・メンフィスで起きた、少年3人が殺害された陰惨な事件の犯人として、3人のティーンエイジャーが逮捕された。殺された少年たちは手足を靴紐で縛られ、体には人間の所業とは思えない暴行の痕があり、戦慄した地元住人らは3人を激しく糾弾、全米のメディアが小さな田舎町に押し寄せた。しかし、この事件の背後には、いくつもの信じがたい不正や矛盾が渦巻いていた……。『スウィート ヒアアフター』などで知られる名匠アトム・エゴヤンの最新作『デビルズ・ノット』は、全米を震撼させた“ウエスト・メンフィス3事件”を映画化したサスペンス・ミステリーである。この事件の比類なき衝撃性は、猟奇的な手口によって幼い子供3人の尊い命が奪われた悲劇にとどまらない。事件の背景と裁判の模様を生々しく記録したドキュメンタリー映画のテレビ放映をきっかけに、アメリカ史上最悪の冤罪事件ではないかとの疑惑が浮上、ジョニー・デップ、ウィノナ・ライダー、ピーター・ジャクソン、パール・ジャムのエディ・ヴェダーといった大勢の著名人が3人への支援活動を繰り広げるなど、社会現象へと発展していった。
コリン・ファース&リース・ウィザースプーン、名匠アトム・エゴヤンの豪華コラボレーション!
報道記者として活躍してきたマラ・レヴェリットのベストセラー・ノンフィクションを原作とする本作は、警察による呆れ返るような証拠紛失や自白強要、事件と何ら関係のない“証人”たちの作り話、さらに保守的な地域特有のアウトサイダーへの偏見といった根深い問題をあぶり出しながら、事件の裏側では実際なにが起こっていたのか、悪魔より恐ろしい人間の闇をまざまざと浮き彫りにしていく。豪華実力派キャストが配された登場人物は、すべて実在&実名のキャラクター。『英国王のスピーチ』のコリン・ファース、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』のリース・ウィザースプーンというオスカー俳優ふたりが、事件の重要な関係者を演じるのに加え、デイン・デハーン、アレッサンドロ・ニヴォラ、ミレイユ・イーノス、といった実力派俳優たちが厚みのあるアンサンブルで映画に説得力を吹き込んだ。ちなみに裁判後も異例ずくめの展開をたどった“ウエスト・メンフィス3事件”は、2011年に獄中の3人が有罪を認める代わりに釈放されるという異例の司法取引が行われた。すでに法定上の“犯人”は確定したものの、3人は冤罪被害者だと信じる者は多く、今なお真犯人は野放しになっていると囁かれている。
犯罪史上稀にみる《未解決事件》の真相に、あなたは気付けるか?
1993年初夏、アメリカ、アーカンソー州ウエスト・メンフィスで児童の猟奇殺人が発生。鬱蒼と緑が生い茂る‘ロビン・フッドの森’の奥深く、“悪魔の巣窟”と呼ばれる沼の底から全裸姿で発見された少年たちは、手足を靴紐で縛られ、体には人間の所業とは思えない暴行の痕があった。戦慄した地元住人らはパニックに陥り、全米のメディアは小さな田舎町に押し寄せた。
犯行当日の夜、現場近くのレストランに現れた血まみれの黒人男性、児童らの顔見知りだったアイスクリーム売りの若者(デイン・デハーン)など、捜査線上に浮かび上がった不審人物は決め手を欠き、報道が過熱するなか警察は、16~18歳の若者3人を犯人と断定、逮捕した。
警察はあまりにも猟奇的な殺人の手口ゆえに、悪魔を崇拝する異端者が儀式の生贄にしたとし、それに当てはまる人物としていつも黒い服装をしてヘヴィメタルを愛聴し、オカルトへの興味を隠さない町の問題児ダミアンとその仲間たちの犯行だと見立てたのだ。悪魔崇拝が動機の未成年者の犯行説に激震が広がる中、事件の成り行きに不自然さを覚えた私立探偵のロン・ラックス(コリン・ファース)は独自で調査を開始する。
一方、被害者の母親のひとり、パム(リース・ウィザースプーン)は当初はダミアンら3人が真犯人と信じて疑わなかったが、裁判を通して浮上したさまざまな矛盾に動揺し、人知れず苦悩を深めていた。警察も司法も信じられなくなったパムは、事件を調べるラックスに、意外な人物の事件への関与をほのめかす衝撃的な告白をする・・・。
《ロン・ラックス》
1960年、イギリス・ハンプシャー州グレイショット生まれ。舞台で経験を積み、映画・テレビ・舞台と幅広く活躍。これまでに『英国王のスピーチ』(10)、『恋におちたシェイクスピア』(98) 、『イングリッシュ・ペイシェント』(96)と3本のアカデミー賞作品賞受賞作に出演。2010年にトム・フォード監督による『シングルマン』で英国アカデミー賞主演男優賞、2009年にヴェネチア国際映画祭ヴォルピ杯(男優賞)を受賞。2011年、イギリス国王ジョージ6世に扮した『英国王のスピーチ』ではアカデミー主演男優賞を始め、ゴールデングローブ賞主演男優賞、放送映画批評家協会賞、そして2年連続となる英国アカデミー賞主演男優賞など様々な賞を受賞した。他の主な出演作に『裏切りのサーカス』(11)、『マンマ・ミーア!』(08)、『ラブ・アクチュアリー』(03)、『ブリジット・ジョーンズの日記』(01)などがある。アトム・エゴヤンとは『秘密のかけら』(05)以来のタッグとなる。
《パム・ホッブス》
1976年、アメリカ・ルイジアナ州ニューオリンズ生まれ。批評家、観客ともに共感を呼ぶ存在として、ハリウッドでひっぱりだこの女優。伝記映画『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』(06)のジューン・カーター・キャッシュ役でのすばらしい演技により、2006年アカデミー主演女優賞、英国アカデミー賞主演女優賞、ゴールデングローブ賞主演女優賞、全米映画批評家協会賞、ピープルズ・チョイス・アワードのほか11本もの賞を受賞。名実共にハリウッドのトップスターになり、2010年にはハリウッド・ウォーク・オブ・フェームの仲間入りを果たした。自ら映画製作プロダクションを設立するなど、プロデューサー業にも進出、ブルーナ・パパンドレアと共同設立したパシフィック・スタンダード・フィルムズでは『WILD』や『Gone Girl』などベストセラー本の映画化を含む様々な新企画を手掛けている。待機作に『The Good Lie』(14)など。
《クリス・モーガン》
1987年、アメリカ・ペンシルバニア州アレンタウン生まれ。テレビシリーズで人気を集め、2010年オフブロードウェイで上演された『エイリアン』の演技でオビー賞を受賞。同年ジョン・セイルズ監督の『Amigo』で映画デビューを果たす。2012年『クロニクル』に主演し、批評家から絶賛を受け興収的にも成功を収める。『欲望のバージニア』『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』に出演した後、2014年に『アメイジング・スパイダーマン2』で、主人公の友人ハリー・オズボーン役に大抜擢された。
《テリー・ホッブス》
1972年アメリカ・マサチューセッツ州ボストン生まれ。ブロードウェイを中心に活動を始め、1997年『フェイス/オフ』で映画デビュー。近年の出演作はアンヌ・フォンテーヌ監督の『ココ・アヴァン・シャネル』(09)、サリー・ポッター監督『ジンジャーの朝 ~さよなら、わたしが愛した世界』(12)、デヴィッド・O・ラッセル監督『アメリカン・ハッスル』(03)など。ニューヨークで上演されたサム・シェパードの戯曲『心の嘘』や、ウィリアムズタウン・シアター・フェスティバルで上演されたバーナード・ポメランスの戯曲『エレファント・マン』など舞台でも精力的に活動している。
《バーネット判事》
1956年、カナダ・ケベック州生まれ。『13デイズ』(00)のジョン・F・ケネディ役でサテライト賞の助演男優賞を受賞した。『アララトの聖母』(02)や『スウィート ヒアアフター』(97)、『エキゾチカ』(94)とエゴヤン作品の常連であり、本作はエゴヤンとの4作目にあたる。近年の出演作に『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(13)、『フライト』(12) 、『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』(12)、『スター・トレック』(09)などがある。
《マーガレット・ラックス》
1969年アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク市生まれ。2000年に『ワーニャ叔父さん』の舞台でブロードウェイデビュー。同作でトニー賞の演劇助演女優賞にノミネートされた。2005年『欲望という名の電車』でステラ役を演じ、2度目のトニー賞ノミネートを受けた。映画女優としては、2007年の『ゴーン・ベイビー・ゴーン』の演技が高く評価され、ニューヨーク映画批評家協会賞 助演女優賞や、放送映画批評家協会賞助演女優賞を受賞、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞などの助演女優賞にもノミネートされた。その他出演作に『チェンジリング』(08)、『グリーン・ゾーン』(10)、『大脱出』(13)など。
《ヴィッキー・ハッチソン》
1975年アメリカ・ミズーリ州カンザスシティ生まれ。大学で演技について学ぶ。2005年ブロードウェイ作品『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』でハニー役を演じ、トニー賞の演劇助演女優賞にノミネートされた。2011年から続く人気ドラマ『THE KILLING』シーズン2にサラ・リンデン刑事役で出演、ゴールデングローブ賞とエミー賞にノミネートされた。その他の映画出演作は『L.A. ギャングストーリー』(13)、ブラッド・ピットと共に主演を務めた『ワールド・ウォー Z』(13)など。
《ダミアン・エコールズ》
1993年アメリカ・テキサス州ヒューストン生まれ。ネブラスカ・ウエスレヤン大学ではミュージカル演劇専攻している。ヒューストン各地の劇場およびミュージカル劇場で数々の芝居に出演した。戯曲家としては、1幕芝居『アライヴ:ア・コメディー・フォー・ザ・デッド』を執筆。同作はヒューストンのアレイ・シアターで上演された。ミュージシャンとしても卓越した技量を持ち、ギターを演奏する他、バンド、ヘイリーズ・レッグスのリードシンガーとして定期的に活動を行っている。
1960年、エジプト・カイロ生まれ。大学卒業後手掛けた初の長編映画『Next of Kin』(84)がジニー賞(カナダのアカデミー賞)の監督賞にノミネートされる。続く『ファミリー・ビューイング』(87)はロカルノ映画祭でエキュメニック審査員賞、トロント映画祭では最優秀カナダ映画賞を受賞、ジニー賞では作品・監督・脚本を含む8部門の候補となった。94年、『エキゾチカ』でカンヌ映画祭の国際批評家連盟賞を受賞し、ジニー賞では作品・監督を含む8部門を受賞、一躍世界が注目する監督となる。97年に発表した『スウィート ヒアアフター』は、カンヌ映画祭で、審査員グランプリ、国際批評家連盟賞、エキュメニック賞をトリプル受賞し、アメリカ・アカデミー賞では監督賞と脚色賞の2部門にノミネートされ、全世界で高い評価を受けた。ベルリン映画祭で審査員長を務めたほか、カンヌ、ヴェネチア、サンダンス、トロント、トライベッカ等の映画祭で審査員を務めている。次回作は、脚本・製作・監督を担当するスリラー『The Captive』(ライアン・レイノルズ主演)