この度、精神科医を務めながら、珠玉の人間ドラマを生み出してきた帚木蓬生の山本周五郎賞受賞作『閉鎖病棟』(新潮文庫刊)が『愛を乞うひと』『エヴェレスト 神々の山嶺』の平山秀幸監督・脚本により映画化。
原作の『閉鎖病棟』は95年に発売され、丸善お茶の水店に掲げられた「感動のあまりむせび泣きました…」というPOPが起爆剤となり、累計85万部を超す大ベストセラーとなった作品。
主演は国民的芸人・笑福亭鶴瓶。本作で演じるのは、死刑囚でありながら、刑の執行が失敗し生きながらえ、今は精神科病院にいる男・梶木秀丸。『ディア・ドクター』以来10年振りの主演作となる本作では、役作りの為、7キロもの減量を成功させ、庶民的な顔とは異なる存在感を要する役柄に挑んだ。
また秀丸と心を通わせる患者役に、『そこのみにて光輝く』『新宿スワン』で個性溢れる演技を見せた綾野 剛が出演。サラリーマンだったが、幻聴が聴こえるようになり、家族から疎まれて精神科病院に強制入院となったチュウさんを演じた。
そして、父親からのDVが原因で精神科病院に入院する女子高生・由紀役として、『渇き。』のエキセントリックな役柄から、『恋は雨上がりのように』の恋する女子高生役まで、幅広い演技力を備えた若手女優、小松菜奈が共演。
2008年に原作と出逢った平山監督は、原作に惚れ込み、初めて自ら脚本を執筆して映画化を打診。この程、11年越しで映画化が実現した。
2019年1月7日(月)、松本ロケにてクランクインした撮影はその後、独立行政法人国立病院機構が運営する精神科の専門医療施設・小諸高原病院の多大なる協力を得て2週間にわたるロケ撮影が行なわれた。ドキュメンタリーを除き日本国内で旧国立の精神科病棟を使用しての精神科病棟を舞台とした作品の映画撮影は本作が初めての試みとなった。この他、足利、平塚などの関東近郊。都内、多摩地域での撮影を経て、撮影は2月9日(土)にクランクアップ。
長野県のとある精神科病院。それぞれの過去を背負った患者たちがいる。
母親や嫁を殺めた罪で死刑となりながら、
死刑執行が失敗し生き永らえた梶木秀丸(笑福亭鶴瓶)。
サラリーマンだったが幻聴が聴こえ暴れ出すようになり、
妹夫婦から疎んじられているチュウさん(綾野剛)。
不登校が原因で通院してくる女子高生、由紀(小松菜奈)。
彼らは家族や世間から遠ざけられても、明るく生きようとしていた。
そんな日常を一変させる殺人事件が院内で起こった。加害者は秀丸。彼を犯行に駆り立てた理由とは—― ?