2021年10月20日(水)配信
2021年10月20日(水)発売
ロンドンに緊急事態発生。長年にわたる大麻の大量栽培／販売で財を成したアメリカ人ミッキーが、ビジネスを売却し、引退するというウワサで暗黒街に激震が走った。その利権なんと500億円。目の色変えた強欲なユダヤ人大富豪、ゴシップ紙の編集長、ゲスな私立探偵、チャイニーズ&ロシアン・マフィア、さらには下町のチーマーまで、一筋縄ではいかないジェントルメン＝一流のワルたちが、莫大な利権をめぐってスリリングな駆け引きを繰り広げる。
『ロック、ストック＆トゥー・スモーキング・バレルズ』『スナッチ』以来、ガイ・リッチー監督は、晴れて地元ロンドンのクライム・ワールドに帰還。自ら手掛けた小粋なダイアローグを詰め込んだ脚本を、緩急自在にギア・チェンジしながらスタイリッシュに演出。超豪華キャストが演じるクセの強過ぎるキャラクターたち、CAN、ロキシー・ミュージック、ファーサイド、ザ・ジャムらのクールなサウンドトラック、さらに映画ファンが唸る小ネタ・珍ネタの数々に世界中が熱狂。世界興収は1億ドル超のスマッシュヒットを記録し、すでにTVシリーズ化が始動。愉快・爽快・痛快の3拍子が揃ったノンストップ・クライム・サスペンス、いよいよ日本上陸！
ロンドン、昼。パブに入ってきたハンサムな紳士、ミッキー・ピアソン(マシュー・マコノヒー)は、バーテンにビールとピクルドエッグを注文し、ジュークボックスにコインを落とした。渋いアメリカン・ロックが流れる中、スマホで話し始めたミッキーの背後で男が銃を構え、銃声が響いた瞬間、ビールグラスが血に染まった―。
夜。ミッキーのビジネス・パートナー、レイ(チャーリー・ハナム)の自宅リビングに私立探偵フレッチャー(ヒュー・グラント)が忍び込んでいた。刺し殺すぞと怒鳴るレイをなだめながら、フレッチャーは語り始める―。ミッキーに激しい恨みを持つゴシップ紙の編集長ビッグ・デイヴ(エディ・マーサン)に雇われたフレッチャーは、秘かにミッキーとレイの行動を監視し、様々な犯罪の証拠を集めていたというのだ。それが公になれば一大スキャンダルとなって二人の組織は壊滅する。それが嫌なら2000万ポンド払え、オレが書いた映画の脚本「ブッシュ」(大麻の意)も付けてやるという、早い話がユスリなのだった。
アメリカ生まれのミッキーは、アタマはイイが貧乏な奨学生だった。イギリスの名門オックスフォード大に合格し、だが、勉強そっちのけで非合法の“園芸”を学んだ彼は、卒業も帰国もしなかった。上流階級の金持ち同級生たちに園芸品＝大麻を売り始めたのを皮切りに、それから数十年、時にはあくどく乱暴な手段を使って勢力を拡大、ロンドンのアンダーワールドで大麻王国を築き上げたのだった。現在の総資産4億ポンド（約500億円）ともいわれるミッキーの人生はしかし、今大きな岐路に差し掛かっていた。
裕福な中年になり、美しい妻ロザリンド(ミシェル・ドッカリー)とあらためて安らかな人生を送ろうと考えたミッキーは、ヤバいビジネスから足を洗い、この商売を誰かに譲ろうと思案していた。さる会食で大富豪のユダヤ系アメリカ人マシュー・バーガー(ジェレミー・ストロング)と知り合ったミッキーは、金持ちの犯罪者同士意気投合し、マシューに大麻ビジネスの売却を持ち掛ける。
年間栽培量５０トン、売り上げ2億、収入1億ポンドを上げる自ら築いた大麻ビジネスの仕組みを見せるため、ミッキーはマシューを秘密の農園見学に案内する。大麻農園はイギリス国内12か所にあり、そのすべては上流階級の貴族たちの所有する敷地の地下に作られていた。公爵や公爵夫人たちは、土地はあるが金はない。豪邸をきれいに保つには金がかかる。そこに目を付けたミッキーは、豪邸の管理費を負担する代わりに無償で土地を借り受けていたのだった。もしもこの先大麻が合法化されれば、年間売り上げは2000億から5000億ポンドになると見立てるミッキーは、12か所の農園、栽培士と大麻ソムリエ、栽培テクノロジー、そして顧客リスト込み総額4億ポンドで売却するとマシューにオファーした。
後日、ロザリンドが経営する高級車専門のガレージに、ジョージ卿(トム・ウー)率いるチャイニーズ・マフィアの若頭ドライ・アイ(ヘンリー・ゴールディング)が現れた。10万ポンドの車のパーツと引き換えに、ロザリンドに夫との面会を仲介してもらったドライ・アイは、手下のファック(ジェイソン・ウォン)を従えてミッキーのオフィスを訪れた。どこから嗅ぎつけたのか、ミッキーが引退すると知っていると語るドライ・アイは、電卓を叩き、縄張りの買い取り金額を提示した。だが、ミッキーから「俺は売り物じゃないんだ。売るとしても桁が違う。そんなはした金じゃ朝食の材料も買えない」と軽くあしらわれ、面会時間終了となった。
その一件の後、秘密農園で騒ぎが起きた。覆面マスクのアタマにデジカメを装着したトラックスーツ姿の4人の男たちが侵入し、従業員たちを叩き伏せ、大麻強奪をはかったのだ。録画されていた強奪の様子はラップ・ミュージックに合わせて編集され、「よちよち仲間」(トドラーズ)提供と記され、ネットにアップされていた。この「よちよち仲間」の正体は、スラムの不良たちの指導と更生に務めるジムの“コーチ”(コリン・ファレル)が面倒を見ている若者たちだった。彼らはどうやって秘密農園の場所を知ったのか？
マシューとの商談がまとまりかけ、ミッキーがドライ・アイと会った直後に農園が襲われた。これは偶然か、それとも何者かの策略か。疑惑が広がる中、ミッキー懇意のプレスフィールド卿から娘のローラ(エリオット・サムナー)がヤク中のロック歌手と失踪したので連れて帰って欲しいという連絡が入る。命を受けたレイは、二人が潜む南ロンドンの団地に向かう。しかしそこで起きた出来事により、ロシアン・マフィアがミッキーの命を狙うことになるとは、誰もが予想していなかった。総額【500億円】の大麻ビジネスの利権を巡り、紳士の顔をした悪党たちの争いは、さらにヒートアップしていく―。
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