キノフィルムズ

マックイーン:モードの反逆児

恋をするように服を作り、命まで捧げた、ドラマより劇的な人生

イントロダクション

〈ファッション界の反逆児〉と呼ばれながらも、
デヴィッド・ボウイやビョーク、レディー・ガガから
キャサリン妃にまで愛されたアレキサンダー・マックイーン

ロンドンの労働者階級出身の青年は、
いかにして無一文からトップデザイナーへと駆け上がったのか?

ロンドンの労働者階級出身で、日々の食費にも困っていた青年が、23歳で失業保険を資金にデザイナーとしてデビュー。次々と開いたセンセーショナルなショーは、大絶賛とバッシングの真っ二つに分かれ、彼の名前〈アレキサンダー・マックイーン〉は、たちまち世に広まった。そして1996年、弱冠27歳でパリのグランメゾン〈ジバンシィ〉のデザイナーに抜擢されて世界を驚かせ、34歳で大英帝国勲章を授与されるまで上りつめる。ところが、富と名声の絶頂期にいた40歳で突然、自ら命を絶ってしまう。いったい彼はどんな人物で、いかにして現代のおとぎ話のような成功を果たし、なぜ燃え尽きてしまったのか──? 

ストーリー

テープ1 獲物を狙う 切り裂きジャック
──心の奥深い闇から恐ろしいものを引き出し、ランウェイに乗せるんだ


母親のジョイスが、リー・アレキサンダー・マックイーンの原点を明かす。学校へも行かず仕事もなかった16歳の時、仕立て職人が人手不足だと聞いて老舗テーラーで働き始め、服作りの才能に目覚めたのだ。やがてマックイーンは単身イタリアに乗り込み、ロメオ・ジリのアシスタントを務めるのだが、ジリが生意気だったマックイーンのエピソードを披露する。
帰国後、名門セント・マーチンズ美術大学に入学、卒業コレクションで人生が変わる。「ヴォーグ」の編集者で20世紀ファッション史の重要人物だったイザベラ・ブロウが、「モダンでクラシカル、美とバイオレンス。今まで見た中で一番美しい」とマックイーンの作品に惚れ込み、夫のデトマー曰く「彼をトップにすると決意」したのだった。

テープ2 ハイランド・レイプ
──現実に耳をふさぎ、世界は楽しいと思う人に現実を伝えたい

 
マックイーンがどうやってデビューしたかを明かすのは、エージェントのアリス・スミスだ。当時のスタッフはノーギャラで働いていたのだが、ヘアメイクのミラ・チャイ・ハイドは「彼の魅力ゆえよ」と微笑む。さらに、まだ太っていた若い頃のマックイーンの映像が流れ、「生地もすべて失業手当で買った」と無邪気に笑う。
マックイーンのデビュー・ショーの映像が流れ、「退席する人もいた」とアリスが打ち明けるが、もっと騒ぎになったショーが「ハイランド・レイプ」だ。バッシングもされたが、翌日の各紙がトップで扱い、マックイーンは時の人となる。普段は朗らかな彼のどこにそんな闇があったのか? 甥のゲーリーが、一族のある秘密を打ち明ける。

テープ3 そこはジャングルだ
──僕はやるべきことをやる。名声のためじゃない


ジバンシィのクリエイティブ・ディレクターに抜擢されたマックイーンは、礼儀正しいパリの工房に、ロンドンの反骨精神を持ちこんだ。デザイナー助手のセバスチャン・ポンスが、エキサイティングだった日々を振り返る。だが、初めてのショーは酷評され、当時の恋人だったマレー・アーサーは、その夜の荒れたマックイーンについて苦々しく語る。また、アーサーとデトマーの口から、マックイーンの裏切りが明かされる。「イザベラに見出された」と言われることに嫌気がさした彼が、彼女をジバンシィとの契約から外したのだ。

テープ4 ヴォス
──僕の私生活と仕事はすごく密着してる。ショーがあるから感情を表現できる

 
自分のブランドとジバンシィを行き来したこの頃が、マックイーンにとって最悪な時期だった。年10回以上のコレクションのプレッシャーに潰されかけ、ドラッグに手を出してしまったのだ。クリエイションは壮絶なまでに磨き上げられたが、人間関係は破綻する。そんな中で生まれたショーが、ウィトキンのグロテスクな写真の再現でフィナーレを飾る「ヴォス」だ。
さらに高い名声を獲得したマックイーンは、ディレクターのトム・フォードから誘われてグッチと契約、ジバンシィを去る。ロンドンに戻り、家族との絆を確かめたマックイーンは、「うまくいかず不安な時期があった。でも抜け出せた。これが僕の人生だ。天職なんだ」と呟く。

テープ5 プラトンのアトランティス島

だが、心の平安は束の間だった。マックイーンには、さらなる過酷な宿命が待ち受けていた──。

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劇場公開日
2019年4月5日(金)
時間
111分
スタッフ
監督・脚本:ピーター・エテッドギー
キャスト
リー・アレキサンダー・マックイーン
トム・フォード
フィリップ・トレーシー
イザベラ・ブロウ
ショーン・リーン
サラ・バートン