2020年3月11日(水)配信
2020年3月11日(水)発売
1946年、終戦の歓びに沸くロンドンで暮らす作家のジュリエットは、一冊の本をきっかけに、”ガーンジー島の読書会”のメンバーと手紙を交わすようになる。ナチに脅えていた大戦中は、読書会と創設者であるエリザベスという女性の存在が彼らを支えていた。本が人と人の心をつないだことに魅了されたジュリエットは、読書会について記事を書こうと島を訪ねるが、そこにエリザベスの姿はなかった。メンバーと交流するうちに、ジュリエットは彼らが重大な秘密を隠していることに気付く。やがて彼女は、エリザベスが不在の理由にたどり着くのだが―。
『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』の製作スタッフが贈る、至福のミステリー。
僕はドーシー・アダムズ。ガーンジー島の住人です。
そんな自己紹介から書き出された1通の手紙が、すべての始まりだった。1946年ロンドン、受け取ったのは、作家のジュリエット・アシュトン(リリー・ジェームズ)。彼女がかつて古書店に売ったチャールズ・ラムの随筆集を手にしたドーシーが、そこに書かれていたジュリエットの住所に送ったのだ。手紙には第二次世界大戦が終わり、ナチの占領から解放されたが島の本屋は復活せず、ロンドンの書店の住所を教えてほしいと書かれていた。ジュリエットは、「僕の所属する“読書とポテトピールパイの会”」は「ドイツ軍から豚肉を隠すために誕生しました」というくだりにたちまち好奇心をそそられ、彼の欲しい本を進呈する代わりに、読書会について教えてほしいと返事を出す。
まもなく届いた返事に、ジュリエットはさらに夢中になる。時は1940年、イギリス海峡に浮かぶガーンジー島に暮らす人々は、ドイツ軍に家畜を没収され、郵便や電信網も止められ、完全な孤立状態の中、恐怖と空腹に震えていた。そんなある日、ドーシー(ミキール・ハースマン)は“秘密のパーティ”への招待を受ける。主催者はエリザベス(ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ)、会場はアメリア(ペネロープ・ウィルトン)の家。アメリアが隠していた豚を、近所に暮らす友人たちで楽しもうというのだ。アイソラ(キャサリン・パーキンソン)が自家製のジンを、郵便局長のエベン(トム・コートネイ)がポテトとその皮だけで作ったポテトピールパイをお土産に駆けつける。温かな料理を囲んで、笑い合い、語り合い、5人は人間らしい時間を取り戻すのだった。
だが、運悪く帰り道でドイツ軍に見つかり、エリザベスがとっさに「読書会です」と口走る。占領軍は統治のモデルケースとして、文化活動を推奨していた。翌日、5人は急いで読書会の体裁を整え、ドイツ軍に届けを出す。成り立ちはカモフラージュだが、やがて5人は本を読んで仲間と感動を共有することに夢中になっていく。「読書会は僕らの避難所でした」という一文に感銘を受けたジュリエットは、「皆さんにお会いしたい」と綴った手紙を、自分の著書を添えて送るのだった。
折しも、担当編集者で長年の友人でもあるシドニー(マシュー・グード)から与えられた「タイムズ」の原稿のテーマは、“読書”。ガーンジー島の読書会について書こうと決めたジュリエットは、ドーシーの返事を待たずに旅立つ。ウェイマス港まで見送ってくれたアメリカ人の裕福な恋人マーク(グレン・パウエル)からのプロポーズを受けた彼女は、恋にも仕事にもこれから始まる冒険にワクワクしていた。
だが、歓迎されるとばかり思っていたジュリエットの予想は外れる。アメリアが警戒するような素振りを見せ、創設者のエリザベスに会いたいと言うジュリエットの願いを即座に、「それはムリ」と却下する。それでも、ジュリエットの朗読と討論は「合格」だと褒められ、ポテトピールパイをジンで流し込む儀式を終えた時には、すっかり打ち解けていた。ところが、「タイムズ」に書きたいと口にした途端、再びアメリアの表情は険しくなり、「お断り」とはねつけられてしまう。その時、奥の部屋からエリザベスのまだ幼い娘キットが出てきて、会はお開きとなった。
翌日、エベンから島の歴史を聞き、ドーシーに島を案内してもらうジュリエット。二人は、本土とは全く異なる戦時中の様子を詳しく教えてくれるが、エリザベスの話になると固く口を閉ざす。読書会のメンバーが抱えた秘密に魅せられ、滞在を延ばしたジュリエットは、やがてエリザベスが不在の理由に辿り着く。それは、作家にとって「書かずにはいられない物語」だった──。
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